ウェルビーイングを探究するブログ

『私の幸せはどこ?』

成功までのシビアな道すじを示す書籍『The Long Game』

『The Long Game』ドリー・クラーク著 伊藤守監修 桜田直美訳 出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン

この本はこうすれば成功するというようなHow to本ではありません。成功するのは簡単ではない。望むものはたいてい手に入る、しかし、それには「長期の思考」が必要だということを説くものです。

長い時間経過を耐えることのできるものが成功を手にするという道程を指し示し、私たち読者に現実をつきつけ、そしてエールを送ってくれる本でもあります。

成功したいと一歩踏み出すのであればそれは長く苦しい道のりを覚悟しなければならないことを再認識させてくれます。

集中する

現代は情報があふれ、何事かに集中することが困難な時代です。そんな中ではっきりと「自分にとって意味ある人生」を決めて邁進するということは忍耐が求められます。仕事の忙しさ、人との付き合い、魅力的なチャンスとも思えるオファー。

しかしそれが意味ある人生に必要ないとなれば、勇気をもってノーを言わなければならないのです。

人とのつながりが、表面的でかつ、自分を利用しようとする相手を見極め、時間を奪われないように身を守る必要もあります。

成功に向かっていくためにはまず、不要なものを排除しなければならないのです。

今日行動して明日結果は出ない

成功してお金持ちになりたい、幸せになりたいと皆さん一度は思ったことがあるのではないでしょうか。そして一方で、今日成功に向かって行動しても次の日にお金が転がり込んでくるわけはないということも理解していると思います。

そうとわかっていても何か目標を立ててさあやるぞ、と腰を上げたものの、いつの間にかやめてしまう、という人は多いのではないでしょうか。

望んでいた会社に就職できない、ブログの閲覧者数がいつまでたっても伸びない。あなたのもとで働きたいんですとアピールしても受け入れてもらえない、

一度拒絶されただけでも、やはりショックは大きく、やる気がくじかれるものです。

たった一度の拒絶だけで、誰かの創造的な活動が永遠に止まってしまうこともあるのだ。

p222

才能を見つけてもらえず、拒絶が続いて思うように成果が出ず、悶々とする日々が続くかもしれない。ただしそれは短期的に見て今はその時期だと受け入れるのと、やはり自分には無理だと早々に見切りをつけるのとでは、その後の人生の積み上げ方が大きく変わってくるのです。

なんでも長い道のり

運とタイミング、あなたを評価する人との相性によってその拒絶が続くかもしれない。でも、今はその時期だと努力を継続できれば、同じスタートでも自尊心が傷ついて、自信を失って歩みを止めた人よりはるか先を行くことができるのです。

そしてあれこれと分析して戦略を変え、

必要な努力を理解し、その努力を続けることで、自分の力で「いいこと」を起こす。それができれば圧倒的優位に立てる。

p224

なかなか歩みが進んでいないように感じてやきもきするでしょう。でも、最初のうちは成長の変化が微小であなたにも、評価を下す人にも見えないのかもしれません。

目に見える結果が出ない状態が、時には何年も続くこともある。その状況では、自分の能力を疑ってしまうのも当然だろう。ロングゲームをプレイするとは、その不安の時期を乗り越える粘り強さをもつということだ。

p228

「核となる原則」を明確にしておく

先に望むものを手に入れているあこがれの人を見て、あたかも簡単に成功したかのように思ってしまうかもしれません。そしてわずかしか成長していない自分をかえりみてがっかりするでしょう。

けれど先に成功している人は、単にあなたより先に取り掛かったというだけで、長い経験を経た先に輝かしい今を生きているのであって、長くやきもきした道を歩んだのは今のあなたと変わらない。

それがわかっていても、他と比較したくなってしまうものです。

自分の成長の遅さにがっかりして、もうどうにでもなれと投げ出したくなるのを止めるためには「核となる原則」を明確にしておくことだと著者は言います。

「自分はなぜそれをするのか」

「私はこういう人になりたい」

という思いはあこがれの先達(せんだつ)とはちがう、比較のできないあなただけのヴィジョンです。そして著者は執拗に、継続することをやめてはいけないと強調します。

挑戦が報われることもあれば、そうでないこともある。それでも挑戦しなければならない。 (中略) 打席に立たなければ、その能力を発揮することはできない。 (中略) 長期で考えれば、「統計」はあなたの味方だ。打席に立つ回数を増やせばヒットの数も増える。

p244

初期段階は「実験」

私自身もそうですが、たいていの人は失敗をおそれ、失敗を避けようとしますね。失敗したくないから行動しないこともあるでしょう。完璧な下準備ができるまで具体的行動をとらないかもしれません。

挑戦を続ければ、必ずうまくいかないことが何度も起こります。なので、挑戦の最初の段階では「実験」をしていると思いましょう。思い通りの結果を得るまで何度も試すのです。だからこその長い道のりなのです。

たいていの目標は失敗する。 (中略) 大切なのは、失敗してもあきらめないことだ。目標への道は一つではない。別の道は必ずある。

p258

挫折を想定しておく

自分に対する評価というものは他者が下すものでそれは自分でコントロールできるものではありません。1回、2回、シビアな評価を下されたからと言って、それをそのまま自分で自分に下す評価に当てはめる必要はないのです。

挫折のショックは、その後につづく困難な道よりも、有望で結果の出せそうな道にそれたくなる誘惑を呼び起こします。そのショックとは尊厳やプライドが傷ついたり、屈辱を感じたりすることです。それでたいていは耐えられなくなります。けれど失敗や挫折はつきものと覚悟しておけばショックに対する心構えができます。

そしてその先の大きな見返りを期待して、続けるのです。

読み終えて

稼ぎたい、お金ほしい、と思ってしまう平凡な私。

近頃は、「努力せずに○○」というような文言がインターネット上でよく見られるようになりました。楽に成功できたらどんなにいいでしょう。

でも、その情報を発信している人の、その境地に達するまでの時間経過、ということが見えにくいものです。みんなの興味を引き付けるサムネづくりも勉強もしただろうし、なんどもやり直しをしたかもしれない。

もちろん運よくほかの人よりも効率的に成功できる方法が見つかることもある。ただ、それはあくまでうれしいサプライズであり、最初からそれを期待してはいけない。ほかの人が成果を出すまでに3年かかったのなら、自分なら半年でできると考えるのは間違っているということだ。

p268

このブログを始めたばかりの私は、以下の著者の言葉を肝に銘じます。

 障害は避けられない。成功するには障害を乗り越えることが不可欠だ。障害を飛び越えてもいいし、障害の下に穴を掘ってもいいし、障害をばらばらに壊してもいいし、あるいはただ単に迂回してもいい。選ぶのはあなただ。

 選んではいけない道はただ一つ、それはあきらめることだ。

p258