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【書評・要約】『メンタルマネジメント大全』:モチベーション、メタ認知、自己肯定感の本質

『メンタルマネジメント大全』を徹底解説|モチベーション・自己理解・レジリエンスの鍛え方

皆さんは日頃自分の感情がどのように変化し、それが自分の行動や考え方にどれだけ影響しているか、考えたことがありますか?

失敗した時に「ああ、情けない」

批判されたら「つらい、もうやめよう」

ストレスを感じても、気持ちに振り回されずに自分をコントロールできたらいいと思いませんか?

「やる気が続かない」「自分に自信が持てない」「気分が落ち込んでしまう」——こうした悩みは誰しも経験するものです。
そんな心のクセや思考パターンを理解し、よりよく生きるための方法を体系的にまとめた本が今回ご紹介する『メンタルマネジメント大全』です。
本記事では、この本の中から特に重要なテーマである モチベーションの仕組み・メタ認知の活用・恥と自己肯定感・アファーメーションの功罪 をご紹介します。読後には、毎日の生活や仕事にすぐに活かせるヒントが得られるはずです。

『メンタルマネジメント大全』ジュリー・スミス著 野中香方子訳 2023年 河出書房新社

本書を閉じた瞬間から、無条件に自己受容できるようになったとしよう。それはどのような生活だろう。何が変わるだろう。何にイエスと言い、何にノーと言うだろう。何に対して一生懸命に取り組み、何を手放すだろう。自分にどのように語りかけるだろう。他の人にどのように語りかけるだろう。

P199

モチベーションは行動の産物

モチベーションが長続きしないということは誰でも経験していることだと思います。

やるべきことがわかっていて、よし、やろうと意気込んだはいいけど、数日たったら元に戻っているということを私たちは何回繰り返したことでしょう。

モチベーションを維持したい、と考えるものですが、そもそもモチベーションは何かを始める前に起こるのではなく、何かをやり始めた時に起こるのだそうです。

モチベーションは行動の副産物であり、ジムに向かうときではなく、ジムから戻るときに湧き上がってくる。それは、私たちが何かを始め、脳と体がその挑戦を後押しするときに湧き上がってくる、エネルギッシュで勢いのある感情なのだ。

P84

一方、気分が乗らない、今まで好んでやっていたことが続かなくなってきた、というケースもあります。

それを書中ではアンヘドニア(快感消失)といっています。

アンヘドニアは、以前は楽しめたことを楽しめなくなることで、うつ病を含む多くのメンタルヘルスの問題と関連がある。アンヘドニアでは、何事についても、それに取り組む価値があるだろうかと思うようになる。以前は楽しめたことが、無意味に思えてくる。そのため、やれば気分が上がるかもしれないことを、やろうとしなくなる。

P84

そんな風に気分が落ち込んでしまったらどうしたらいいのでしょうか。

気分が落ち込んだ時に、モチベーションの特性が利用できます。

「何もする気が起きない」ときに、それでも、もぞもぞ、のろのろと何かをやり始めると思ったより長時間それに取り組んでいたということはありませんか?

たとえ気分が乗らなくてもこつこつ続けるしかない。やめないことが重要だといいます。続けることで喜びが復活し、そしてモチベーションが後押ししてくれる日まで。

何もしないでいると、心は燃料切れになり、無気力や「めんどくさい」気持ちが一層強くなる。

P84

メタ認知で「自分を客観視」する力を高める

最近さまざまな自己啓発本や動画で「メタ認知」という言葉が紹介されています。

メタ認知とは、自分の心や考え方を“上から眺める視点”のことです。

例えば、イライラしている自分を、もう一人の自分が『あ、いま怒ってるな』と気づく感覚です。

ではメタ認知をどのように活用するのでしょうか。

感情コントロール

落ち込んだときは、『なぜ落ち込んでいるのか?』と一歩引いて観察するだけで、感情に飲み込まれにくくなります。

強み・弱みの発見

今日はどんなことがうまくいったか?なぜそう思うのか?と一日の終わりに振り返ると、自分の得意・不得意の傾向が見えてきます。

自分を変えるためには現状の自分の問題に向き合い、解決していかなければなりません。解決するためにはその問題を徹底的に理解する必要があります。「理解できていないことを、変えることはできない」からです。

この「徹底的」な理解のために自分の経験を振り返るとき、メタ認知が必要になります。過去を思い起こし、自分自身を批判したり、罵ったりしたとき、それが自分の経験にどのような影響を及ぼしたか考える必要があります。

「何もする気になれない」「自分はダメな人間だ」「怠けものだ」と思っているということに気づける、ということは問題を認識した→対処できるということです。

「自己認識力を高め、自分の状況を何が好転させ、何が悪化させるかにきづきやすく」なります。

メタ認知は「自己理解 」と「 感情調整」の両方を支える力になるのです。

著者は過去の経験とそれに対しどう対処したかを記録することを勧めています。

メタ認知を実践すると、現状を維持するのであれ、変化するのであれ、自分に責任を負い、自分の役割を検証できるようになる。メタ認知は、一見、些細に思える行動がプラスにもマイナスにも大きな影響を与えることを明らかにする。

自分の経験を、細部に注意を払わず、ぼんやり眺めがちな人は、それを記録することに違和感を覚えるかもしれない。しかし細部に目配りすることで、過去の経験をより深く理解できるようになり、やがて、経験している瞬間に、自分の行動のサイクルやパターンに気づくようになる。そうなれば、これまでとは違う選択をし、自分にとってプラスになる変化を起こす可能性が高まるだろう。

P112

恥と自己肯定感の関係

他人から批判されて恥じ入る、失敗してかっこ悪いところを見られて恥ずかしい。

恥という感情は厄介で、さあ、前向きな一歩を踏み出そうというときに足かせになったり、踏み出した先の、つまずく石ころになったりするものです。

恥ずかしいという感情は、自分が他人からどう見られているかという想像から起こります。だからと言って気にするな、というのは不可能と言っていいでしょう。

著者は、私たちが自己認識やアイデンティティの構築に関して「鏡に映る自己」という言葉を引いています。

「鏡に映る自己」とは、アメリカの社会学者 チャールズ・ホートン・クーリー(Charles H. Cooley, 1864–1929) が提唱した概念で、「他者の視線や評価を通して自分の自己像が形づくられる」 という考え方です。

1.他者に自分がどう見えているかを想像する

「自分の発言はどう受け取られただろう?」「服装や態度はどう映っているだろう?」

2.他者が自分をどう評価しているかを想像する

「バカにされているかも」「頼りにされているのかも」

3.その評価を基に自己感情を抱き、自己像をつくる

誇らしさ、恥ずかしさ、自信、劣等感などの感情を持ち、自己概念が形成される。

つまり、自分の「ありのまま」をそのまま見るのではなく、他者の反応を鏡として自己像を作っているのです。

集団生活をする私たちにとって社会生活のスキルを向上させたり、自己改善につながったりする反面、ストレスや不安を招いたり、他者の評価を気にするあまり、自己肯定感が下がったりしてしまいます。

自分が他者にどう思われているかという認識が、自分の次の行動に影響するのは理にかなっている。

P169

恥ずかしい思いをしたりして、自己肯定感が下がったらどうしたらいいのでしょうか。

それには恥に対するレジリエンス(回復力)を高めるしかないのです。

それは自分に対する誹謗中傷を遮断して恥を感じ無くすることではなく、「転んでも、誇りを払い落として、再び立ち上がる方法を学ぶ」ことが自己成長の実践にもなるのです。

  • 自分にとって何が「恥」を引き起こすのか知る
  • 批判やそれに基づく評価が本当に正しいのかチェックする
  • 自分にかける言葉に気を付ける
  • 批判されたら正しい方法で自分に語りかける
  • 恥の経験を信頼のおける人に話す

再び立ち上がりたければ、自分を叩くのをやめなければならない。あらゆる批判を活用するカギは、自分の味方になることだ。自分に大いに同情すれば、力を取り戻し、批判に耳を傾け、自分のためになる批判と、単に自尊心や自信を打ち砕くだけの批判を見分けられるようになる。

P176

アファーメーションの効果と注意点

そうやってレジリエンスを高め、恥への対処を身に付けた先に自信を取り戻したいとき、気を付けるべきは、ポジティブなアファーメーションに頼らないことだといいます。

アファーメーションとは、自分に語りかけるポジティブな言葉を習慣化して、心のあり方を整える方法です。

「自己肯定感を高める」「ネガティブ思考を弱める」「目標達成へのモチベーションを支える」「不安やストレスを軽減する」という効果があるといわれています。

しかし、著者は、それはもともと自尊心が高く、自信のある人なら有効だが、自尊心の低い人は自分が信じていない言葉(私は魅力的だ、強い人間だ、など)を自分にかけたところで、実はそうではない自分との比較で、かえって気分が落ち込むことがあるといいます。

典拠

  • Joanne V. Wood, John W. Lee, W.Q. Perunovic

  • 論文: Positive Self-Statements: Power for Some, Peril for Others(2009, Psychological Science)

上記の論文によれば、自尊心の低い人は、ネガティブなことを考えてもいいと言われると葛藤が無くなって気分が落ち着いたそうです。

自分が強い人間だと思えない日には、そう思う必要はない。自分は弱い人間だと時折感じるのは、人間であることの一部だ。

P185

まとめ

『メンタルマネジメント大全』は、私たちが日常で直面する心の浮き沈みに対して、実践的なツールを示してくれる一冊です。

モチベーション、メタ認知、恥やアファーメーションなど、心の動きを理解することで、自分とより誠実に向き合う方法を教えてくれます。

心が揺れ動くのは当たり前。それに対処することによって自分の心と向き合うことができ、気づかなかった可能性や力が見えてくるかもしれませんね。

この本の目次

第1章 気分が落ち込むとき

  • 気分について、まず知っておきたいこと
  • 負のスパイラルを断ち切る
  • 思考に振り回されないために
  • 調子が悪いときの乗り越え方
  • 基本的なことが、実はすごく大事

第2章 やる気が出ないとき

  • やる気についてまず知っておきたいこと
  • モチベーションの育て方
  • やりたくないことにやる気を出す方法
  • 人生を大きく変えたい。さてどこから始めよう?

第3章 つらい感情にとらわれているとき

  • 感情を消し去りたい?
  • 感情に対処する具体的方法
  • 言葉の力を活用する
  • 大切な人を支える方法

第4章 大切なものを失ったとき

  • 悲嘆について、まず知っておきたいこと
  • 悲嘆には段階がある
  • 喪失を乗り越える方法
  • 強さの柱となる8つのもの

第5章 自信を無くしているとき

  • 批判や反対意見への対処法
  • 自信を培うためのカギ
  • 失敗から立ち直る方法
  • 成長するためにも自己受容が必要

第6章 不安を感じているとき

  • どうすれば不安を回避できるのか
  • 不安を悪化させる行動
  • 今すぐ不安を落ち着かせる方法
  • 不安な思いをどうするか
  • 避けられないことへの恐怖について

第7章 ストレスを感じているとき

  • ストレスと不安は違う?
  • ストレス軽減が唯一の解決策ではない理由
  • 長期的なストレスに気をつける
  • ストレスを活用する方法
  • 重要な場面でのストレス対処法

第8章 心が満たされないとき

  • 「幸せになりたいだけ」に関する問題
  • 人生において何が重要かを明らかにする
  • 「自分を変えたい」と思ったら
  • 人間関係の重要性とその改善方法
  • いつ専門家の助けを求めるべきか

読み終えて

恥ずかしい思いをすると、その時の状況や、周りの人たちの反応を、何日たってもぐるぐると思い出され、あるいは数年後にふと思い出されたりします。

その嫌な思いを少しでも軽減しようと、職場で休憩時間に笑い話として話すことがあります。

「この前こんなことしちゃってー、めっちゃ恥ずかしかったんですぅー。」

といった感じで(^^)

何度も思い出されることに変わりはないんですが、その状況が頭の中に展開されたときのネガティブな感情が薄らいで、それこそメタ認知的に俯瞰して、こんな感じだったよなーとあっさり観察している自分に気づくことがあります。

やっぱりメンタルマネジメント、効果がありそうです!(^^)!

 

 

 

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書籍『「なりたい自分」になる方法』に学ぶ|ABCモデルで焦らずできる行動変容のコツ

焦らず、ムリせず。行動分析学ABCモデルで「続く行動」をつくる方法

皆さんは理想の自分ってありますか?

そのイメージに近づくために、何かにチャレンジしたり行動を起こしたりしているでしょうか?

今回ご紹介するのは、変わろうと何かを始めたけど三日坊主で終わる、行動を起こしているのになぜか変化がない。そんな思いのままの自分になれない人のために書かれた本です。

『「なりたい自分」になる方法』冨山真由著 2016年 あき出版

焦りは禁物、一気には変われない

変わるために「望ましい」と思える行動を取ろうとかんばるのだけど、全然楽しくない。楽しくないと続きませんよね。

そして、行動したとしても明日劇的に自分が変わっているなんてまずありえません。結果がすぐ見えないから、すぐに飽きたり、習慣化する前にいつのまにか、変わろうという決心も忘れて日常に戻ってしまいます。

本書では目標を小さく分解して、スモールゴールを作ることを勧めています。

やるべきことが明確になり、効率が良くなり一つ一つのゴールをクリアすることで達成感を得られるのです。そして次の目標に行動を起こしやすくなります。

その小さな積み重ねを繰り返していくと、昨日の自分より、劇的には変われないけど、ちょっとは変わっているはずです。

あなたの「行動」の積み重ねが仕事とプライベートのバランスを取って、充実した生活を作り上げ、あなた自身を幸せにしてくれます。

P142

なりたい自分になるための環境づくり

あなたにとって「本当はしたい行動」「本当はしたくない行動」が、ごちゃ混ぜだと、「よく分からない行動」に力を注いでしまうことがあります。

P104

ごちゃ混ぜの行動を整理することで本当はしたい行動に注力できる環境を作りましょう。

そのために、「劣後順位」という「しなくていい行動」を先に決めてしまうのです。

つまり「やることがたくさんあるが、優先順位に従って片付ける」という場面で、「劣後順位」は後回しにするべきものとして活用されます。

例えばたくさん仕事を抱えているけど、今日中にしなくていいことはしない(後回しにしていい)、というふうに整理できます。

訳の分からない行動に時間と労力を奪われないために、しなくていいことは後回し、あるいは、しないという勇気も必要です。

まとめ

「焦らない」「一気に変えようとしない」「しなくていいことはしない」という視点が、習慣化や自己変容に悩む多くの人にとって心強いアドバイスとなるはずです。

ここで、本書で紹介されている行動分析学における「ABCモデル」についてもうちょっと詳しくご説明します。

行動を変えるヒント「ABCモデル」

私たちは毎日、さまざまな「行動」をしています。朝起きる、歯を磨く、スマホを見る、ついお菓子を食べてしまう……。
こうした行動の背景に何があるのか?
行動分析学では、それを「ABCモデル」というシンプルな枠組みでとらえます。

ABCモデルとは?

ABCとはそれぞれ、

  • A(Antecedent)=先行条件
     → その行動が起こる前のきっかけ、環境、状況

  • B(Behavior)=行動
     → 実際に行われた行動そのもの

  • C(Consequence)=結果・強化子
     → 行動の直後に起こる結果。報酬や罰など

という意味です。

人の行動は、この「A → B → C」という流れで成り立ち、
結果(C)によって、その行動(B)が今後も続くかどうかが決まるとされています。

たとえば、

  • A:スマホに通知が来る

  • B:すぐに開いてチェックする

  • C:面白い投稿が読めた → 行動が強化される(またチェックしたくなる)

このように、行動は無意識のうちに繰り返されていることが多く、
気づかないうちに「クセ」や「習慣」になっているのです。

本書では、行動を変えたいとき、AとCを意図的にコントロールすることを紹介しています。

行動(B)を変えたいとき、「意志」や「根性」に頼るだけでは難しいことがあります。
ABCモデルでは、先行条件Aと結果Cを意図的に変えることで、行動を無理なく変えることができます。

<例1:早起きしたいけどできない>

  • A:夜遅くまでスマホを見てしまう

  • B:寝るのが遅くなり、朝起きられない

  • C:寝坊して自己嫌悪 → でも変わらない

→ 対策として

  • Aを変える:寝る1時間前にスマホをリビングに置く

  • Cを変える:起きられた日はお気に入りのコーヒーを飲む「ご褒美ルーティン」をつくる

<例2:運動を習慣にしたい>

  • A:運動ウェアが見つからない/天気が悪い

  • B:今日もやらずに過ごす

  • C:動かなかったことで罪悪感

→ 対策として

  • Aを変える:前日にウェアを用意し、玄関に置いておく

  • Cを変える:運動したら、好きな音楽を聞くまたはSNSに記録を投稿する

「やる気が出ない」「どうしてもやめられない」——。
そんな悩みの裏には、ABCモデルに当てはまる行動パターンが存在しています。

大切なのは、行動を責めるのではなく、仕組みで捉えること。
先行条件と結果を少し変えるだけで、「自然と行動したくなる仕組み」を作ることができます。

あなたが変えたいと思っているその行動も、ちょっとした環境の工夫や報酬の与え方で、
意外とスムーズに変えられるかもしれません。

【参考資料】

読み終えて

「頑張りすぎはダメ」と本書に書かれていますが、私、よくやっちゃいます。

あれもこれもといろいろ手を出しすぎるのです。

そしてすべてが中途半端。

最近やるべきことを選びだし、他のことは(未練がありますが)休止、ということにしました。

今、生活の中心に据えているのは絵を描くこと。

隙間時間ができた時、「何しようかな」と考える時間の浪費というものがありましたが、「出勤するまでにちょっと時間があるな、絵の練習しよう」とすぐに行動に移すことができるようになりました。

あと、ToDoリストではないのですが、休日の時間割を作りました。学校の授業の時間割のようなものです。

何時から何時まで○○をする。休憩時間10分とか、大きめの紙にマジックで書いて目の付くところに置いてます。

デジタル描画、鉛筆での模写、ヨガ、トレーニング、ブログ作成。

だいたい休日のルーティンは決まっているはずなのに、次何しよう、と立ち止まって考えていた時間が無くなりました。

私も「なりたい自分」にちょっとずつ進んでいるようです(^^)

 

 

女性の複雑な心理を解き明かす 書籍『不機嫌な女子社員とのつき合い方』

女子社員の言動の裏を知るために

女性の気持ちって同じ女性でも理解不能なことたくさんありませんか?

女性同士だから仲良くできるなんて単純に考えている人に出会ってしまうと、「いや、そんなわけないでしょ」と突っ込みたくなることありますよね。

学校や職場って一緒にいる人を選べない、組織なんだから当たり前か、と思っても、気が合わない、理解できない、そりが合わない、そんな女子といるとただでさえ仕事が大変なのに、余計に神経をすり減らして結局、仕事以外の原因で職場を去ってしまう、という人があまりにも多くないでしょうか。

今回はそれに気づかない、なぜあの社員は去ってしまったのかわからない管理職の人のために書かれた本です。

『不機嫌な女子社員とのつき合い方』北山節子著 2009年 ポプラ社

でも決してこの本は、お局やいじめとも思える行動、言動をする女子を非難する内容ではありません。

この本の著者、北川氏が長年、販売員として培ってきた観察眼と、管理職としてスタッフの教育に携わってきたプロとして、女子社員の本音、心の動きを読み解いて、いかに女子社員に向き合うか、職場にどのように貢献してもらうのかを解説するものです。

人はさまざま、女子社員もさまざま

この本では数々の女子のパターンをあげていますが、中でも私が出会ったことのあるタイプを二人だけ、ご紹介します。

  • 部下の業績を認めない「お局女子」

お局女子は上下関係の厳しい社会で育って来て、褒められたこともない。今までの先輩からの手法をそのまま実行しようとするので、部下に同じことを繰り返す。だから横のつながりを作るのが苦手。

著者の対処法は、お局女子と後輩(部下)の間に入って「かすがい」になること。

間接的に双方の感情や意見を伝えてあげるとお局女子の態度も軟化したそうです。

  • 相手をやり込めようとする「とっちめ女子」

こうあるべき、○○しなければならない、という正義感をしっかり持っていて、自分の理想と相反する行動の人を許せないのだそうです。

自分の理想の「結果」だけを重視し、過程を評価しない傾向にあるので、途中経過の「報告」をすることにしました。そうして結果に至るまでのプロセスに目を向けてもらうことで他者に対してだけでなく、自分自身に対しての不機嫌も改善したそうです。

女子社員の不機嫌の背景を知ることでその対処法がわかるといいます。

女性は表にあらわれる表情や言葉のほかにその裏の感情を読み取ろうとしてしまいます。それをポジティブに捉えられるようにしてあげればその特徴をプラスの方向へ力を発揮してもらうことも可能だそうです。

まとめ

しかし残念ながら管理職の方々が、「こいつはお局女子だな、なんとか対処しないと」と思ってくれなければこの本を手に取ることはないでしょう。

あるいは、女子社員が一人でいると、

「話し相手がいないとさみしいねぇー」などという上司、先輩、男性には、著者のような、これらの繊細で細やかな配慮というのは期待できない、というのが私の本音です。

大人同士なんだから、そこまで世話してやんなきゃいけない?と思っている上司は、同時に、なんで次々人が辞めていくのかなー、給料が低いのかな、仕事振りすぎた?と的外れな考えにおちいっているかもしれません。

管理職の方に読んでほしい本ですが、目の前の人間に興味のない人には、この本は目に入らない………。

この本の目次

  • 第1章 女子は『ほめ言葉」で伸びていく
  • 第2章 不満を表に出すタイプ
  • 第3章 不満をため込むタイプ
  • 第4章 女子力の活かし方

読み終えて

もしこの本を手にする女性の方がおられたら、自分の職場にいる人だけでなく、自分自身もこの中に当てはまらないだろうかと思いながら読んでほしいです。

ちなみに私は、

”笑顔のベールをかぶった「ニコニコ女子」”

です。

仕事はそつなくこなすけれど、自分から意見を言ったりすることはなく、常に一歩引いたところで優しい笑顔を浮かべています。

(中略)

一見、人を受け入れようという好意的なスマイルに見えるのですが、実は「こちらからは入っていきません。だから、そちらからも入ってこないでくださいね」というベールのような笑顔です。

P150

このようなニコニコ女子は1対1の対話で少しずつ心を通わせるとよい、とありました。

当たってるなぁ 波風立てるのが嫌なので愚痴は言わない、悪口も言わない。

そう、悪口陰口が嫌いという正義感ではなく、他者と仕事以外で関わりたくない、という私の暗部だと思います。

著者の北山氏の人間観察の鋭さに感服します"(-""-)"

 

 

心の中の声はどこから来るのか? 「内言モデル」から学ぶ自己理解と創造性 書籍『おしゃべりな脳の研究』

何もしていないとき、ぼーっとしているとき、自分の頭の中も、何もしていないでしょうか。それとも思考が渦巻いてる?

何も考えまいと思っても、頭の中を空っぽにするのは難しくはありませんか?

自分の頭の中で話すことを「内言」といいます。

脳内は完全なるプライベート空間です。他人が今頭の中で何を考えているのかなんてわからないのと同様、自分の頭の中が言葉でいっぱいになってもそれは他の誰かに知られることのない自分だけのものです。

頭の中に湧いては消える考えを他人に伝えるのは難しいですね。

『おしゃべりな脳の研究 内言・聴声・対話的思考』チャールズ・ファニーハフ著 柳沢圭子訳 2022年 みすず書房

私たちはその内なる経験を、言葉によって人に伝えてきました。それが詩や小説になったりします。

そういう文学作品は、「どこからやってきたかわからない文章」が頭の中で浮かんでは流れて消えていく言葉をとらえて作られてきました。

この本は、「内言」とは何なのか、人にどのように役に立っているのかという研究の歴史と実際の事例を紹介する本です。

「内言モデル」とは――心理学でいう「心の中の声」

著者の心理学者、チャールズ・ファニーハフは、私たちの「心の中の声」=内言を、多層的で社会的なプロセスとしてとらえるという理論を提唱しています。

これは、ヴィゴツキーの理論をもとにしつつ、現代の脳科学や認知心理学の知見を加えて発展させたものです。

  • レフ・ヴィゴツキー:人の発達は社会とのかかわりの中で起こる。思考はもともと社会的なものであり、言葉によって発達すると考えました。そしてその言葉が内面化されて、私たちの「内なる声(内言)」になっていくというのが、彼の理論の中心となります。

 内言はどこから生まれる?──社会的起源という考え方

著者は、内言はもともと他者との会話(外言)から生まれると考えています。つまり、幼少期に親や先生、友だちと交わした言葉が、徐々に「自分の中で使う言葉」に変化していくというものです。

  • 子どもはまず、外に向かって声を出して自分に語りかける(「私的発話」:本書では著者自身の子が自分に話しかけている描写があります。「私、何するの?線路を作って、車をいくつか載せるんだよ」と、自分に質問し、答えている)
  • それがやがて内面化されて、声に出さない「内言」へと進化する

この過程はヴィゴツキーの理論とも一致しています。

自分と話をするとき、人は少しの間、自分から離れて、自分がしていることをいくらか客観的に見る。

P42

つまり、内言とは「自分の中に他者の声を取り込む」ことでもあり、私たちの思考はもともと対話的であると著者は主張しています。

書くということは自分との対話

ある内言の調査の協力者で、「内言の速度は速く時間を超越してる」という人がいたそうです。それは早口でしゃべっている感じではないとも。

たとえば、「あのことを伝えたい」「この気持ちを表現したい」というモヤモヤと漠然とした想いがあったとして、それは主語や文法が抜けた縮約された形でも、本人には意味がわかります。

それを文章にして他人にわかるようにしようとしたとき、断片的な内言を頭の中で展開し、それを心の中の思考で下書きして実際に紙に書きだします。

彼はこの縮約された内言に特に注目しており、思考のスピードや創造性に関わっているとしています。

内言は、計画を立てたり、指示したり、励ましたり、疑ったり、言いくるめたり、禁じたり、考察したりできる。クリケット選手から詩人に至るまで、人はあらゆる形で、ありとあらゆる目的のために自分自身と話す。

P16

著者の見出した内言の意義とは、「内言は自己理解、創造性、感情調整に深く関わっている」ということです。

 内言と“聴声”は連続している

著者の理論の独特な点は、内言と「聴声」(頭の中で他者の声が聞こえるように感じる現象)を、断絶したものではなく、連続する連なりととらえていることです。

  • 内言:自分が自分に話しかける声(コントロールできる)
  • 聴声:他人のように感じられる声(コントロールしにくい)

「聴声」の経験者は「統合失調症」と診断されることが多いといいます。

しかし著者は聴声つまり幻聴を「まったく別の異常現象」とは見なさず、通常の心の働き(内言)と地続きの体験ととらえています。

むしろ、「聴声」を言語と思考の構造がどのように働いているかを示す「窓」とみなせば、聴声経験者を通して内面の対話や心の自己認識がどう構成されているかを理解できると提言しています。

まとめ

「内言」の研究という一筋縄ではいかない専門分野の様々な研究手法とその有用性を紹介する内容でした。

人が何を考えているのか「実際の瞬間の記述」を得るために、ラッセル・ハールバートのDESという手法を試行錯誤しながら活用しています。

DES:主観的な内面体験(思考・感覚・内言・イメージなど)を科学的に記述・分析する。「人は自分の心の中でどんなことを考えているのか?」という問いに、できるだけバイアスなく、生の形で答えようとする試み

  • 被験者はブザー(タイマー)を携帯する:ランダムなタイミングでブザーが鳴るよう設定

  • ブザーが鳴った瞬間の“心の中の体験”を記録する:何を考えていたか、どんな言葉・感情・映像・身体感覚だったかなど

  • その後、研究者とのインタビューで詳細に振り返る:曖昧な表現ではなく、できるだけ具体的・忠実に記述するよう促される

内言そのものがどういうメカニズムで起こっているのかはっきり分かっていません。内言と聴声の境もあいまいです。本人がそれとどう向き合っているか、そして付き合っているか、人それぞれです。

統合失調症と診断された患者、内言の実験ボランティアに直接かかわってきた著者は、過去の偉人に対して遡及的識別診断をして例えばソクラテスは統合失調症だったのではないか、などとラベリングすることは無意味であると主張しています。

この本は人が頭の中で話すこと、あるいはまるで自分ではない誰かの声が聞こえる、とう現象の研究を紹介するものなので、内言とはこうだ、と断定するものではありません。

印象的だったのは、

聴声が聞こえなくなりたいか、という問いに対し、いなくなると寂しいと答える人が多いということです。

たとえそれが辛辣で自分をけなすような声であっても。

読み終えて――『おしゃべりな脳の研究』を読んで考えたこと

この本の冒頭、著者が地下鉄の中で自作の小説のアイディアがふっと湧いてきてそれがとても滑稽なシーンだったので思わず笑ってしまった、という記述があります。

私は普段、面白い冗談を言葉にして人を笑わせたことはありません。しかし頭の中では笑いのアイディアが浮かんできたりします。それは自分の頭の中だけのキャラクター同士の会話だったり、自分が発言しているかのようだったり。

でもそれは聴声ではなく、この本でいう内言であるという認識があります。きっと私の人生の長い時間経過の中で得た記憶が断片的に組み合わされて生成AIのように出力された、ということでしょう。しかしAIと違うのは、今こんな面白いアイディアが欲しいというプロンプトを入力したわけではなく、ふっと現れます。きっと皆さんもそうだと思います。もしそうできたら小説家の人たちは苦労しないでしょうね(^^)

『おしゃべりな脳の研究』を読んでいると、創作や学習の場面で働く「内なる声」についても考えさせられます。

私は52歳で30年ぶりに絵を再開しましたが、描いている最中の脳内では、

「この線は違う」
「もっとこう描けるはず」
「今日はうまくいかない」

と、絶えず言葉が動いています。

そんな「50代からのイラスト練習と自己探究」の記録はこちらに書いています。

vega-draws.hatenablog.com

この本の目次

  • 第一章 不思議なチーズ──内なる声と思考の関係
  • 第二章 ガス灯をつける──内観という方法
  • 第三章 おしゃべりな器官の内側──自分の異なる部分どうしが会話する
  • 第四章 ふたつの車──子どもの私的発話と内言の発達
  • 第五章 思考の博物学──内言の種類、外言との関連
  • 第六章 ページ上の声──黙読について
  • 第七章 私の合唱──対話的思考と創造性
  • 第八章 私ではない──聴声の経験
  • 第九章 さまざまな声──聴声経験と内言の多様性に注目する
  • 第十章 鳩の声──古代・中世の聴声
  • 第十一章 自らの声を聴く脳──言語性幻聴の神経科学
  • 第十二章 おしゃべりなミューズ──作家が聴く声について
  • 第十三章 過去からのメッセージ──トラウマ的記憶と聴声
  • 第十四章 しゃべらない声──非聴覚的・非言語的な経験
  • 第十五章 自分自身と会話する──「声」の重要性の探究

 

 

「どうせ無理」は脳のクセだった?予測不能な時代に自分を取り戻すヒント 書籍『脳マネジメント』

「変われない脳」とどう付き合うか?VUCA時代の心の持ち方と行動の選び方

AIの進化や社会構造の変化により、私たちは今、かつてないスピードで変わる世界に生きています。

世の中が目まぐるしく変化してこの先どうなるのか、自分はついていけるのか、と不安に陥ることはありませんか。

そんな時代背景の中で注目されているのが「VUCA」というキーワードです。
予測困難で複雑な現代を生きるには、脳が本能的に持っている「変化を避けようとするクセ」に気づくことが必要不可欠です。

「VUCA」な世の中を生きていくために、何かを変えなければならないと感じている方々にこちらの本をご紹介します。

『脳マネジメント』秋間早苗著 2024年 クロスメディア・パブリッシング

変化にしなやかに対応するための視点と、自分の内側にある“本来の力”をどう引き出していくかを考え「正解のない先の見えない道なき場所を模索する」人たちのために書かれた本です。

「変わる世界、変われない自分」無力感と諦めを超えるために

AIが台頭してきてからの世界の変貌は目まぐるしく、しかし、その変化から逃げるわけにもいかない、今はそんな状況ではないでしょうか。今までの世界と、これからの世界はとてもかけ離れたものになるはずです。

だから、このままではいけないと思いつつ、では何をどうすればいいのかわからないという人は多いと思います。

そして何かを変えたいという理想と、変えられない現実のギャップに無力感、あきらめを感じているのではないでしょうか。

世界とは本来わかりづらいものです。

毎日のルーティンを繰り返している限り、数時間後、翌日、来年の予測をすることができます。これが安心となって、つい今まで通りを続けようとしてしまいます。

しかし、実際は未来の予測などできないはずです。同じことをしていれば、まあ大きな変更はないだろうという想像ができるというにすぎません。

この想像上の「予測できる世界」を本書では「非VUCA」と表現しています。

VUCAとは、以下の単語の頭文字をとったものです。

  • 変動性(Volatility):社会情勢や市場の変化が激しく、予測が難しい状態
  • 不確実性(Uncertainty):将来何が起こるか予測できない状況
  • 複雑性(Complexity):様々な要因が複雑に絡み合い、問題解決を困難にしている状態
  • 曖昧性(Ambiguity):因果関係が不明確で、何が原因で何が起こっているのかが分かりにくい状態

今の時代、生じる問題や課題の明確な答えを出すことが難しいだけでなく、提起された問題すら,、いかようにも解釈できるあいまいなものだったりします。

そして無力感や諦めから、「どうせ~ない」という考えにいきついてしまう。

「どうせ変えられない」「どうせ自分にはできない」

そして本書のいう「非VUCA」の考えを堅持しようとして、変わること、変えることは誰かがやる他人事だと思ってしまう。

そう考えてしまう「脳のクセ」を何とかしようというのが本書の内容です。

VUCAの時代においては、企業や個人は従来の思考や行動様式を転換して、変化に柔軟に対応できる力や、不確実な状況下でも意思決定を行える力が求められるのです。

ジャッジメンタルという思考のクセ

脳はエネルギーを食う器官です。ですから、常に省エネしようとするのが特徴です。

省エネに有効な手段は習慣化です。毎日のルーティンで無意識に行えること。歯を磨いたり、毎日の出勤ルートを移動したり、同じタスクをこなしたりすると、脳はとても楽ちんなのです。

なるべく今までどおりがいい、と考える。それが著者の言う「脳のクセ」です。

反対に脳にとって負担のかかることとは、変化することです。つまり新しいところに行ったり、環境を変えたり、新しいことにチャレンジしたり。

脳は変わりたがらないんだということを意識しなければ「私には無理」「時間がない」「どうせうまくいかない」などなど「やらない」理由が次々にうかんできて無意識にそちらに引っ張られることになるでしょう。

ノンジャッジメンタルと二次ジャッジメンタル

「ジャッジメンタル(judgmental)」とは、物事をすぐに「良い・悪い」「正しい・間違っている」と判断してしまう心のクセのことです。
たとえば、「私はミスをした。だからダメな人間だ」とか、「あの人の態度は失礼だから嫌い」といった反応がそれに当たります。

このような判断は自動的・無意識に行われがちで、自分自身や他人に対して厳しくなったり、ネガティブな感情を引きずる原因になります。

人は自分の外側ばかり見てしまいがち、「違い」は優劣、善し悪しで見てしまいがち、間違いと思いがちなのです。

そうならないようにすることをノンジャッジメンタルといいます。

しかし、そうなるまいと意識しすぎると、今度はその反動で二次ジャッジメンタルという状態になることもあります。

最初の判断に対して、さらに「こんなふうに感じてはいけない」とか「またネガティブになってしまった、自分は弱い」と、自分を否定したり責めたりする反応のことです。

こうあるべきという「べき思考」にとらわれていると、ノンジャッジメンタルになれなかった自分を責めてしまうのです。

そしてまた、気づかないうちに自分を責めるクセはエネルギーを消耗し、再び考えがネガティブに傾いてしまいます。

「今ここにある自分の状態」を評価せずにそのまま見るノンジャッジメンタルになると、自分を先入観なしに見つめることで自分ならではの力を発揮できるようになります。

自分がどんな刺激に対してどんな反応をしているか、繰り返している反応パターンはないかといった情報を集めていくと、自分が持っている価値感や固定概念などの理解の解像度を上げることができます。

p102

私たちは、出来事が起きた瞬間にすぐ反応してしまいがちですが、「起こった事実」と「自分の感情や反応」のあいだに、ほんの少しでも“すき間”をつくることができると、その場での反応を選び直すことができます。

この「反応を自分で選べる」という感覚は、「自分にもできることがある」という自己効力感を高めることにつながります。
それは、他人の期待や世間の常識に流されるのではなく、「本当に自分がやりたいことは何か」に目を向けることでもあります。

そうして、自分自身の心がときめく瞬間や感覚「萌えポイント」を少しずつクリアにしていくことで、自分「ならでは」の独自性や魅力が自然と表れてくるのです。

自分の人生に対して「自分はこの会社で、こういう仕事をしています」ではなく、「自分はこう生きていきたいから、この会社で、こういう仕事をしている」というように自分の意図を明確に言語化し、あらゆる行動に主体性を持つようにしてみてください。

P131

この本の目次

  • 第1章 VUCAな社会に蔓延する閉塞感・あきらめ・無力感の正体
  • 第2章 人類の進化と脳の暴走
  • 第3章 無自覚な脳を巡る7つの資質
  • 第4章 基本の脳マネジメント―個人が変わる
  • 第5章 私たちの脳マネジメント――チームや組織が変わる
  • 第6章 脳マネジメントはVUCAな社会と未来を灯す松明となる

まとめ

上記のほかに、自分が変わっても周りが変わらないことの軋轢による自律型人材確保の課題、組織を変えるために脳マネジメントを活用した具体例など、個人だけでなく、組織、企業が変革するための手段としても脳マネジメントを活用することを提案しています。

「無自覚を自覚する」というのが脳マネジメントの肝になります。

脳のRUS(網様体賦活系、Reticular Activating System)という機能は、五感を通じて得られる膨大な情報をフィルタリングし、重要な情報だけを意識に届ける役割を果たします。脳は省エネモードがデフォルトなので、「やらなくていい」「自分には関係ない」と考えてエネルギーを消耗しないようにしてしまいます。するとやがて、それが重要なことだと脳が判断して、「やらない理由」の根拠ばかりが目に付くようになってしまいます。

それは無自覚に脳が行うということを知るのが「無自覚を自覚する」ということです。

自分がどうありたいのかを知り、そのために必要な情報を拾えるようにRUSの機能を利用しましょう。

VUCAな世の中に対処するための方法として書かれた書籍『無知の技法』も以前ご紹介しました。もしよかったらご覧ください。

vega-well-being.hatenablog.com

読み終えて

「省エネのまま過ごせる「コンフォートゾーン」にとどまりたいがために「いつもと同じ」繰り返し、考えずとも行えるルーティーン=習慣を作っていく」という文章を見て、

ああ、また出てきたコンフォートゾーン!

と思いました。

コンフォートゾーンを出なければ変わることはできない

今まで読んだ本で何度この言葉を目にしてきたことか。

私が自己啓発本というものに出会って10年になります。

図書館をたびたび利用してきたのに、ほとんど小説、歴史、洋裁、編み物の棚にしか行ってませんでした。

図書の分類で、歴史は200番台、自己啓発や哲学などは100番台で隣り合ってるんですよね。たぶん列を間違えて入ったのがきっかけだったと思います。

そこで初めて自己啓発本を見つけて手にして、以来100冊はゆうに超えて300冊以上もたぶん読んだと思います(メモしとけばよかった)

それだけたくさん読めば、書かれていることの概要はほとんど同じだとわかります。

行動すること

これに尽きます。

けれど、10年、好んで自己啓発、脳科学、心理学の本を読み続けても、それができないんです。

新たなタイトルの本を見つけて借りて、きっと真新しいことはそうないだろうな、と思いつつ読み進めてやっぱりそうで、

コンフォートゾーン、コンフォートゾーン、コンフォートゾーン………

本を読んでいないとき、何も変わっていない自分に失望と焦燥を感じるといつもこの言葉が頭の中でリフレーンしてます。

今のままではだめだと思いつつ、今の慣れた環境から出られていません。

『脳マネジメント』ではノンジャッジメンタルでいましょうということで自分にダメだしする必要はないということですが、でも……約10年……。

コンフォートゾーンについての本もご紹介したことがあります。

vega-well-being.hatenablog.com

それでもなおかつ変われない私。

全く変わってないはずはないですけど、理想とする自分ではないことに、焦りや不安を感じてしまいます"(-""-)"

 

 

 

 

AI時代こそ人間らしさを 依存と共創のバランスを考える 書籍『生成AI活用の最前線』

AIと共に生きる! 依存ではなく共創を選ぶために

最近急激に身近なものになってきたAI

私たちのパソコンでも無料で気軽に使えるものになりましたね。

その反面、仕事が奪われる、AIが暴走して人間の手に負えなくなるんじゃないか、など、不安になることもありますよね。

それは未知なるものに対する不安ではないでしょうか。

今まで人類が経験したことのない速さで、あっちでもこっちでもAIを活用しようという潮流が渦巻いて広がって、もうついていけない、と思ってしまいますね。

でも、不安で怖いからといって遠ざけるわけにもいきませんよね。

少しでも不安を軽くするためには、積極的に知ろうという姿勢が必要ではないでしょうか。

ということで、今回はこの本をご紹介します。

  • 『生成AI活用の最前線』 バーナード・マー著
  • 株式会社 クニエ デジタルトランスフォーメーション担当
  • NTTデータ・コンサルティング・イニシアティブ 訳
  • 2025年 東洋経済新報社

この新たな生成AIの時代が進展するにつれ、企業(および個人)の間で大きな分岐が生まれると私は確信している。すなわち、テクノロジーを活用してイノベーションと生産性を高める者と、後れを取る者である。その決定的な要因はマインドセット、心構えにある。

P360

AIによる便利さの裏に潜む危険

過度にAIに依存するようになると、リスクが生まれます。

例えば人間のスキル劣化

自動化されたAIシステムに依存することで、若者だけでなく、すべての年齢層で人間特有の専門能力が低下する可能性がある。

P116

本書では子供の宿題の例を挙げています。

もし子供が宿題をAIにすべてやってもらうとすればそれによって生じる問題は、批判的思考、問題解決能力、リサーチ能力、創造性、文章によるコミュニケーション能力、自己鍛錬の意識が育たないという可能性があるということです。

これからの子供たちはAIのない時代を知りません。AIのない時代を生きてきた私たちが無意識に身に付けていたこれらの能力や、その価値を、彼らに認識させるひと手間がなければ、将来の人間全体において人間的スキルが失われて行ってしまうかもしれません。

生成AIはまた、労働市場にも影響を与える。従来は人々が「仕事を覚える」ために行っていた比較的簡単なレベルの仕事は、生成AIが引き受けることになる。生成AIシステムによって多くのタスクが実行されるようになると、新たに労働市場に参入する人々はどのようにしてスキルを身につけることができるのだろうか?

P116

また、インターネットが普及してから知りたい情報が簡単に手に入れられる世の中になりました。AIが身近になってその情報量も格段に増えました。便利になる一方、問題も生じます。

AIによって簡単に記事が作られるようになると、玉石混交の情報が大量生産されるようになりました。

それがさらに加速すると、ムダな記事があふれ、検索結果があいまいになり、本物で価値ある記事が見つけにくくなるのです。

また、AIがAIの作ったものを学習するようになれば、人間味がなく、多様性に欠けるものになる可能性もあります。

さらに誤情報や、虚偽、ディープフェイクで株価が反応することも起こるのです。

AIが生み出したものの正誤の判断をし、どう使うかを吟味するためには、人間的スキルこそが必須なのです。

AIと共に生きる時代の人間の役割とは?

冒頭でいったように、AIを生活から遠ざけるというのはもはや不可能になりました。

カスタマーサービスも、いつの間にかAIに置き換わっています。そしてもはや自分の相手をしているのがAIだと気づかない、という精度にまでなっているといいます。

本書では「パーソナライズされた」という表現が繰り返し使われます。

お客、生徒、患者など、個人個人の状況や好みに合わせたサービスの提供というものが可能になりました。

しかし、なんでもAIに自動でお任せというのでは、うまく使いこなしているとは言えません。あくまでAIはツールであり、主体は人間なのです。

本書では「共創」という言葉が使われていました。

自動化と人間らしさのバランスを取ることが不可欠である。生成AIは人間の創造性を模倣はするが、人間そのものではない。人間の感性や共感力、文化的な理解に代わるものは持ち合わせていない。また、ブランドの価値観や倫理をコンピュータモデルよりも深く理解しているのは人間である。したがって、常に人間の知識や経験を加えることにより、生成AIから最良の結果を引き出すことができる。

P186

生成AIとうまく付き合うためには私たちはどうすればいいのでしょうか。

AIに仕事を代わってもらうのではなく、効果的に仕事をするために活用するときの心構えを本書は「生成AIマインドセット」と呼んでいます。

  • 適応力:うまくいっていた今までのやり方を捨てる意思
  • 好奇心:わからないことを受け入れる
  • 継続的な学習への取り組み:スキルや知識のアップデート
  • 協働の意欲:人間とAIの労働の組み合わせ
  • 倫理に配慮すること:倫理を問い続ける
  • 批判的思考:AIの示す答えに盲目的に従わない

しかしこれらは生成AIが一般に使われるようになる前から職場、組織で必要とされていた能力ではないでしょうか。

AIが事実に基づかない情報を生成してしまう現象ハルシネーションは大規模言語モデル(LLM)によくみられる現象です。

人間は完ぺきではないので自分や同僚の間違いに気を付けるはずです。同じようにAIも間違いを出力するということを考慮して使わなければならないということです。

まとめ

この本の文章を読んでいて、なんとなく違和感がありました。何とはうまく表現できませんが、使っている単語熟語の違和感というか、杓子定規というか……
訳者の個人名が書かれていないということは、想像ですが、この本もAI が訳したものかもしれません。

この本は海外で出版された本です。2025年3月発行ですが、訳して製本して販売するまでのあいだに、もう内容が古くなっていると感じました。

まるで世の中がAIの発展スピードに時間が置き換わったかのようです。

今日ここでこの本をご紹介しても、来年の今頃はもはや時代遅れの内容になっていることでしょう。

いや、もうすでになっています。

お読みになるならお早いうちに(^^)

[rakuten:book:21478792:detail]

この本の目次

第1部 AI革命の幕開け

  • 第1章 生成AIの解明――新たなフロンティア
  • 第2章 生成AIの進化の軌跡をたどる
  • 第3章 社会とビジネスエコシステムの革新
  • 第4章 生成AIのリスクと管理すべき4つの課題
  • 第5章 生成AIが職業に与える影響

第2部 生成AIの活用

  • 第6章 メディアとエンターテインメントの新時代
  • 第7章 広告とマーケティング――創造性とAIの架け橋
  • 第8章 インテリジェントシステムを通じた顧客エンゲージメントの再構築
  • 第9章 新たな小売業の世界――バーチャル試着、AIショッピングアシスタントの台頭とその先
  • 第10章 パーソナライズされた学習――教育の未来
  • 第11章 医療の変革――パーソナライズされたアドバイスから業務改善まで
  • 第12章 ビデオゲームの設計とテスト――生成AIアプローチ
  • 第13章 法律分野におけるAI活用――AIによる文書作成とレビューの支援
  • 第14章 未来を創る――デザインと開発におけるAIの活用
  • 第15章 銀行業と金融サービス――AIの持つ破壊的な力
  • 第16章 コーディングとプログラミング――生成AI導入による革命
  • 第17章 生成AIの力を活用して得られるデータインサイト

第3部 生成AIとの前進

  • 第18章 生成AI導入の成功の鍵
  • 第19章 生成AIの進化の未来

読み終えて

効率的に稼ごう、という人にとってはAIが大量にブログ記事を書いてくれたり、イラストを生成してくれたりして便利なツールができたと、活用しているようです。

上記のマインドセットを意識していると、思いのほか手間と時間がかかり、「楽に稼ぎたい」「他人が損をしようが自分には関係ない」「さっさと稼ごう」という人たちに後れを取ることになるのかもしれません。

「倫理」と「欲」とが今まで以上に、善良で誠実な人の中で対立することになるでしょう。この流れに乗っかりたい、と思いつつ、誰かを傷つけることになるかもしれないと思うと一歩が踏み出せない。これこそが、AIにない人間味というものでしょうか。

ところで、人間のオリジナルのものがネットに出回る頻度が少なくなると、生成されるものがだんだん均質化して、プロンプトを駆使しても、ひょっとしたらどれも同じようなどこかで見たことのあるものしか出せなくなるのかなぁと思いました。

本書の中で、

「私は世界にどのように価値を提供したいのか?」

ということを考えるといい、というような内容が書かれていました。

もはやAIと二人三脚の世の中は引き返しようのないことのようです。

ならば自分の頭からひねり出した何かをAIに提供する、ということも社会貢献になるのかもしれませんね。

 

 

 

心の壁を壊し、自分らしく生きるためのヒント 書籍『幸せになる超ライフハック』

ポジティブ心理学と心の受容で充実した毎日へ

皆さん幸せになりたいですか?

私はなりたい!

でも日常生活して、働いていると嫌なことがあったりしてネガティブな感情にとらわれてしまいがちですよね。嫌な感情や記憶が頭の中をぐるぐる。幸せどころじゃない!

どうやったら幸せを感じられるのでしょうか。

誰もがうらやむ幸せは無理かもしれないけど、「なんとなくいい感じ」な人生をどのように手に入れるのかを教えてくれる本をご紹介します。

『幸せになる超ライフハック』kagshun(カグシュン)著 2022年 KADOKAWA

ウェルビーイングを支える5つのポイント

幸せになりたいのなら自分から行動して、現状を変えていかなければなりません。そのためにはどんな方法があるのでしょうか。

ウェルビーイングを高めていくために、著者はポジティブ心理学の「PARMA」というものを紹介しています。

  • P:Positive Emotion(ポジティブな感情)
  • E:Engagement(没頭・夢中になること)
  • R:Relationships(人とのつながり)
  • M:Meaning(人生の意味)
  • A:Accomplishment(達成感)

これらを、手探りで探し求めなければならない幸せ(ウェルビーイング)を見つける目印にするのです。

P:Positive Emotion(ポジティブな感情)

ポジティブな感情はずっと維持し続けることはできません。また、ネガティブな感情を知らなければポジティブはわからない。

ポジティブな感情を意識することにより、ネガティブに振れた感情を引き戻す「レジリエンス(心の回復力の強さ)」を高めることができます。

「ネガティブな自分はダメだ」という考えにとらわれないことが大事です。

E:Engagement(没頭・夢中になること)

何かに夢中になるいわゆるフロー状態は、とても「快」を感じているはずです。そしてそれは能動的に物事に取り組んでいるときに起こります。

フロー状態の時は今、行っていることに意識が集中し、ネガティブな感情が浮かんでくる余地がありません。

自分が得意なこと、楽しいと感じられること時間を忘れて没頭できることを見つけ、「快」の時間を持ちましょう。

R:Relationships(人とのつながり)

人との関係はPARMAすべてに影響が大きく、このRelationshipsがウェルビーイングを左右します。それだけに、人との関係は悩みの種であるともいえます。

人と深くかかわることはいいことでもありますが、人間関係の構築が苦手な人には苦痛になってしまいます。

だから著者は、無理に苦手な自分を変える必要はないと言っています。

頼れる相手を「広く浅く」持つことも悪くありません。いろいろなところに自分の居場所を持つことが大切なのです。

P39

M:Meaning(人生の意味)

人生の意味、生きる意味は、はるか昔から偉い哲学者がさんざん考えて明確な答えは出ていません。

著者は自分はどう生きたいかを考えることに意味があるといいます。

何をしたいのか

どこへ向かいたいのか

自分で考えなければいけません。

義務から解放された時間にしていること、手を伸ばしていることが価値観に気づく入り口です。そこから深堀りしていくことが、「こうありたい自分」の発見につながるでしょう。

A:Accomplishment(達成感)

達成感を得るということは自己肯定感を高めることになります。それは自分にもできるという実感を得ることです。

何かをやり遂げて達成感を得ると自信が持てます。

しかしその自信は他者から「よくやった!」と褒められてつくものではありません。褒められることを期待していたのでは、褒められなければ達成したと思えなくなります。

「自分にはできることがある」と「わかる」ことが自信につながるのです。

大きな目標の達成のために小さな目標を少しずつクリアしてたくさんの達成感を味わいましょう。

心の流れに寄り添いながら、自分らしさに戻る

「ウェルビーイングを高めたい」と思っても、感情や考えはコントロールできないこともありますよね。
そんなときのサポートになるのが、ACT(Acceptance and Commitment Therapy)です。

  1. 受容(Acceptance)
  2. 脱フュージョン(Cognitive Defusion)
  3. 今この瞬間への気づき(Being Present)
  4. 自己としての文脈(Self-as-Context)
  5. 価値(Values)
  6. コミットされた行動(Committed Action)

ACTは、認知行動療法の一種で、今の自分に無理せず向き合いながら、価値観に基づいた行動を増やし、「自分らしい生き方」を選び取っていく心理的アプローチです。
完璧ではない日々の中でも、少しずつ自分に合ったウェルビーイングを育てる行動のヒントとして紹介されています。

受容(Acceptance)

感情をありのままに受け入れる
ツラい感情をどうにかしようとじたばたしていると、いっぱいいっぱいになって余計にしんどくなってしまいます。無理にネガティブな感情を消そうとせず、そのまま受け止め、「今日はそういう日か」とやさしく自分の心を見守ることで、気持ちに余裕が生まれます。

脱フュージョン(Cognitive Defusion)

「思考=自分」ではないと気づく
頭に浮かぶ思考を「事実」として捉えず、「考えが浮かんでいるだけ」と距離をとる練習。心の余白をつくります。

「自分はダメな人間だ」という思考と、「自分自身」は別物、としっかり分けてとらえます。「ダメ人間」はあくまで頭の中に浮かんだイメージであり、妄想に過ぎないのです。

ネガティブな思考は流すこともアリなんです。悩みを悩みのままにして、「解決しなければ」と頑張らなくていいときもあるのです。

今この瞬間への気づき(Being Present)

「今ここ」に意識を向ける
脳というものは常に働いています。何もしていないときでも無意識に様々なことが思い出されたり考えたり。これを「デフォルトモードネットワーク」といいます。

過去や未来に思考が広がって、嫌な記憶や、将来の不安にとらわれてしまうことがあります。

何かに集中すると、今していること、目の前のことで頭がいっぱいになり、心の負担が軽くなります。 

目の前のことを丁寧に感じる力。呼吸の音、鳥の声、湯気の立つカップ……そんな小さな気づきで、ほっとできる瞬間を見つけ、日常を豊かにしましょう。

vega-well-being.hatenablog.com

自己としての文脈(Self-as-Context)

斜め上から自分を観察する
「何かを感じている自分」を「観察する自分」の視点を持つということです。メタ認知といわれています。

自分を観察するいい方法として、感じていることを書き出すということが紹介されています。

書くためには、感情を言葉におきかえる必要があります。その過程で、自分が何をきっかけに何を感じたのか、感じたことをどのように考えて膨らませていったのか、などに向き合うことができるのです。

P101

「何かを感じている自分」は、その感じていることしか見えません。嫌われている、ダメだ、ツラい……

「私はこういう人間」と感じていることに固定せず、移りゆく感情や思考の流れを受け止める視点を持ち、ありのままの自分に優しくなりましょう。

価値(Values)

自分の価値へ向けて舵を切る

目標がゴールを意味するのに対し、価値観というのは目指す方向を意味します。

「どう生きたいか」「どんな自分でありたいか」を考えることは自分なりの価値観を探求することです。

本当は何を大切にしたいのか。答えのない問いかけに耳を傾け、自分なりの価値観を見つけることが、ウェルビーイングの道しるべになります。「こうするべき」「これが普通」という考えにとらわれず、自分にとって価値ある行動を増やしましょう。

コミットされた行動(Committed Action)

決めた方向へこぎ出す
ACTで大事なのは考えるだけでなく、行動することです。

価値観に基づき、自分なりの目標設定をして実際に一歩を踏み出すこと。

小さな目標を設定してコツコツと達成していくことが「自分らしく生きている」という実感を得、ともすればネガティブに陥りがちな日々を支えてくれます。

この本の目次

  • 1章 「いい感じ」に生きるための5つの指標 PERMA
  • 2章 ウェルビーイングを高めるための6つの行動原則 ACT
  • 3章 性格を形づくる5つの軸 ビッグファイブ
  • 4章 ネガティブな感情とどう向き合う?人間理解に役立つ知識
  • 5章 「病気=私」じゃない!どんなときでも幸せに生きるマインド

まとめ

上記のほかに、自分の性格の輪郭をとらえる分析の方法や、ネガティブな感情との付き合い方、ネガティブな感情はどう役に立っているか、なども教えてくれる本です。

著者自身も医師をしながら自分の価値を見出し、それがきっかけでバックパッカーとして世界一周の旅を実現したといいます。

「PERMA]や「ACT]を意識することで、今まで気づかなかった自分を発見できるかもしれません。そして何かに思い立って、それ以前には想像もできなかったことを成し遂げている自分に気づくかもしれません。

ネガティブ感情に振り回されないための考え方を示してくれます。

読み終えて

このブログのタイトル「ウェルビーイングを探究するブログ」にマッチした内容の本でした。

今回のこの本では、いい状態になることを「快」になると表現しています。

私はこの本を読む前から自分にとっての価値あることって何だろうと、何年も何年も考えてきました。この「ウェルビーイングを探求するブログ」もその自分なりの価値観を探すための一環で始めました。そして気づいたんです。

「絵が描きたい」

中高生の頃は絵を描いてました。それが、いったいどうしてこの願望を抑圧してきたのかわかりません。

自信がなかったから?

社会人に必要ないから?

理由はわかりませんが、「我慢」してました。20歳を過ぎたあたりからぱたりと描かなくなりました。趣味にしようともしませんでした。

でも描きたい自分に気が付いて、二か月ほど前からデッサンを始めました。

何しろ30年ぶりなので自信がなく、A4コピー用紙の裏紙で練習しています。

でもそろそろちゃんとしたスケッチブックに描いてもよさそう。

まいたけ

ブロッコリー

コーヒーミル

AIでイラストの生成なんて簡単にできる時代、手描きの絵を再開するなど無駄で非効率でしょうか。

自分が気分のいい時間の費やし方は、お金にならない、時間がもったいない、ということとは別の次元ではないでしょうか。

私にとってこの、絵を描く「根気のいる作業」というのがいかに気持ちのいいことか、久しぶりにじっくり絵と向き合って実感しています。

皆さんも、フロー状態になれる「快」の時間を過ごしてウェルビーイングを高めませんか?

 

 

 

【才能開花】嫉妬に負けない!書籍『あなたの才能があなたを苦しめる』から学ぶ、自分らしく輝く方法

嫉妬を乗り越え、才能を輝かせる方法!『あなたの才能があなたを苦しめる』

あなたは自分にどんな才能があるか知っていますか?と聞かれると、私に才能なんてない、と思うでしょうか。

才能を発揮してキラキラしてると鼻持ちならないと思われるかもしれない。才能がないかのようにふるまっているうちに、そう信じてしまっているのかもしれません。

苦しいと思ったことはないでしょうか。

それは自分のことを自分自身が理解していないからかもしれません。

『あなたの才能があなたを苦しめる』大嶋信頼著 2020年 すばる舎

今回ご紹介する本は、攻撃する人の心の仕組みと、それに対する自分の中の感情や意識をいかに処理するのか、そしてどうやって自分自身と才能を守るのかを教えてくれます。

目立つ奴は嫉妬の対象

才能がある人ほど、周りに足を引っ張られて才能を潰されている

P21

あなたは自信がないですか?

もしかしたら過去に周りの人たちより何かを上手に成し遂げた時、嫌みを言われたりして不快な思いをしたことがあるのかもしれません。

つらい思いをするくらいなら才能なんかなかったことにしよう。

それがいつしか「自分には才能がない」と思い込むようになって、自信がなくなったのではないでしょうか。

経験的に自分の才能が周りの嫉妬心を刺激するのだと知ると、もう、堂々と才能を使えなくなります。

自分の才能の掘り起こしなんてしなくていいと思う反面、自分らしく生きられなくなることが苦しみを生みます。

自信がない人、才能がまったくない、と思い込んでしまっている人ほど、本当は才能の塊だったりします。

P23

否定的な印象の見方を変える、リフレーミングという方法を著者は勧めています。

「否定的な枠組みで見ていた症状を違う枠組みで見る」ということです。

自分が嫌っていた欠点を才能として気付かせるて、それを使ってみよう、ということです。

自分の才能を隠すって謙虚とは違います。

それはとても根深く切実で、本当の自分を壊す行為なのです。

自分より幸せな奴は許せない

ところが、自分の才能に気づき、それを活かしてキラキラ輝きだすと、途端に周りから嫉妬され、調子に乗ってると鼻っ柱を折られ、元の状態よりさらに悪いほうに引きずり下ろされてしまいます。

いったん上昇した気分が突き落とされるということが起こります。

生き生きと輝いている人に嫉妬して攻撃してくる人は平等を求めているのです。誰かが自分より幸福なことは許されないことで、それは阻止しなければならない、その人なりの正義です。だから悪いことをしているという自覚もありません。

自信のない人が誰かに慰められている → 同情を得て優しくされてる → ずるい、平等じゃない → 「甘えてるんじゃないの?」

生き生きしていようが、下手に出ていようが、結局嫉妬による攻撃はやみません。

「通じ合えない孤独」

少し寂しい方法ですが、著者は「通じ合えない孤独」に目を向けることを説明しています。

人間関係を大事にして通じ合おうと努力したくなるのは当然です。でも、どう歩み寄っても分かり合えない人に自分を理解してもらおうとすると、摩擦や葛藤、そして攻撃的感情が生まれてしまい、辛くなります。

相手が自分に対して不快に思っていることはどうにもコントロールできません。だから自分の中の不快さに対処するために、孤独を利用するということです。

もはや分かり合えないと認め、相手との間に孤独という緩衝材を置くと、頭の中が静かになるという人もいるそうです。

攻撃から身をかわしたくても、職場など、そこに居続けなければならない苦境では、もはや自分の気持ちをどう処理するのかに集中するしかないのです。

この本の目次

第1章 欠点は最大の長所?

  1. 嫉妬されて自分の才能を「なかったこと」に
  2. 「想像力の豊かさ」を認めよう
  3. 「怒り」は行動を生み出すエネルギー
  4. ビビりの人は危機管理能力が高い
  5. 「出る杭は打たれる」世界から脱出!

第2章 嫉妬の攻撃をはねのける!

  1. 調子に乗ると叩かれる?
  2. 「脳内ネットワーク」で思っていることが筒抜けに
  3. 一番ダメな選択をしてしまう理由
  4. 嫉妬の電流は「絶縁体」でかわす!
  5. 「金持ちの自分」をイメージして、自由に生きる!

第3章 人は「発作」でうそをつく

  1. 善意のふりをして足を引っ張る友人
  2. 「うそつきの自分」に嫌気がさす日々…
  3. 「見捨てられ不安」で脳に過剰な電気が流れる⁉
  4. 目的は「自分より幸せな状態から引きずり下ろすこと」
  5. 事実無根なのに、現実が作り変えられてしまう
  6. 他人の「嫉妬の発作」打ち消す方法
  7. 「下げる発言」は全部スルーでいい
  8. 自分の感情を排除して、相手の真意を見抜く!
  9. 「うそのカモフラージュ」で「本来の自分」を取り戻す!

第4章 「自己免疫」を整えて、迷惑な人を寄せつけない!

  1. 花粉症も改善する、言葉の威力
  2. 自分を責める人に必要なのは「本当の許し」
  3. 寛容な人になれる「嫉妬の原因は菌」説
  4. ストレスを和らげる「腸内細菌を増やす」暗示

第5章 才能あふれる人たち(読者Q&A)

  1. 読者がいつもひらめきを与えてくれる

まとめ

本書の著者独特の「嫉妬の発作」「嫉妬の電流」という言葉が他者との軋轢を易しく表現されていてわかりやすいです。

嫉妬の攻撃から身を守る方法として、「豊かなお金持ちの気分になる」という面白いものもありました。まるで最近はやりの「お金ブロックをはずす」のとなんか似ているように思いました。

自分を攻撃してくる人はどうしてそのような行動、発言をするのか知る方法として、FBI心理捜査官の手法を紹介したりしています。

また、腸内細菌や自己免疫などで例えたり、脳内ネットワークで言葉を交わさなくても意思が通じでしまうとか、著者独特の表現でユーモアのある解説をしています。

易しい文章で気軽に読める本です。

読み終えて

皆さんは、キラキラすることにためらいはありませんか?

私はあります。

30歳ぐらいまで、息をひそめて自分が得意だと思っているなんらかのことを、ばれないようにひた隠しにし、息をひそめていました。

目立ったらおしまい。そこにいられなくなる。

この本にもあるように、私は無害ですよー、あなたより格下ですと下手に出ていました。「もー、○○ちゃんは私がいなかったら何もできなんだからー」と言われるようにまでなりました。

結構しんどいし、自信もなくなるし、実際うつむき加減で歩いてるし、今でいう「陰キャ」

ところが年を取ってくると、職場では自分より若い人たちのほうが多くなってきます。

若い人たちは今どきの人といってもそこは日本人。まだ年長者に対する敬意というものを残してくれています。

自分たちとは違うカテゴリーの人、と思うのか競争相手にならないようなのです。

40代後半ぐらいから、だんだん楽になってきました。それでも年の近い攻撃的な人はいますが、その時の不快な感情を家に持って帰ることが少なくなりました。

若いころ母が、「年取ったらずうずうしくなる」と言っていましたが、どうやら私はその境地に入ったようです。

そして私自身に問うことを忘れないようにしたいです。

この人とは相容れないと思ったとき、自分自身がその人に嫉妬していないかどうか、と。

 

学びは遊びだ!競争から降りて知的好奇心を探求しよう 書籍『ゆっくり学ぶ』

学びは「頑張る」じゃない。知的好奇心を満たす、大人の学び方

勉強はツラいもの、ほかの何かを我慢して努力するもの、と思っていませんか?

一方、皆さんの周りに常に何か勉強している人はいないでしょうか。彼らはストイックなのかな?頑張ることが好きなんでしょうか?

彼らは結果を出そうとは考えていないのです。学ばなければ気が済まない人。疑問を放っておかない人。

勉強は必死でやるものだという誤解を解くために書かれた本をご紹介します。

『ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方』岸見一郎著 2022年 集英社

この本を読めば「お勉強」に対する先入観が変わり、なにか新しいことを始めてみようか、という気になるかもしれません。

学ぶことに理由は必要か

人生のなかで勉強「しなければならない」時期というのは誰でもあります。学校のほかに人生の節目のとき、高校や大学の入試、入社試験、資格試験。

嫌だけど今が我慢のしどきだ。乗り越えればあとは楽だ。のちのち有利になるために。実用的知識を得るために。そう思って頑張っている人もいるでしょう。

目標や目的があればモチベーションにつながってやる気が出ることもあります。しかし、目標が達成されたらそれで終わりでしょうか。あるいは、いい結果が出なければそれまでに費やした時間や労力は意味のないものと感じてしまわないでしょうか。

役に立たないことは学ばないほうが得でしょうか。

生計の立てられないような知識や学問は無駄なのでしょうか。

子供にいい成績を期待すると、いい側面と悪い側面が出るそうです。

周りの子たちに抜きんでていい成績のとれる子は、がぜんやる気を出すけれども、成績の競争のような状況で、いい結果が出なければもう勝てないとあきらめて勉強しなくなるそうです。

著者は学ぶのが好きな人です。しかし、論文審査に通るために読みたくない本も読まなければならなくなると、とたんに学びが苦痛に変わったそうです。

目的を持つと学びが苦しくなります。好きではないことも勉強しなければならなくなるからです。

幼いころは「あれは何?」「それはどういうこと?」と貪欲に知識を求めて親に質問していたのに、学校に入った途端とくに知りたいと思わないことまで覚えさせられると、「知ること」「学ぶこと」「お勉強」がつまらなくなってしまいます。

一方、成功するためではない学びは競争も強制もなく、何を学ぼうが自由なのです。

今、何かを学んでいるけれども幸福ではないとしたら学び方に問題があると私は考えています。子供のころは何かを知ること、学ぶことには何かの目的があるというようなことは考えず、学んでいる「今」が楽しかったのではありませんか。

P53

人生と学び

競争のような勉強に慣れた私たちは、「他人と比べて」優れた自分になろうとする目的で学びがちです。

しかし、学んで知識が増え、賢くはなりますが、優れるわけではないのです。

アドラーは、「他者より優れようとするか」「今の自分より優れようとするか」では、後者が健全な優越性だといいます。

しかし、著者の岸見氏は、今の自分より優れようとする目的を持つ必要もない。理想の自分と比べなくていい、とも言っています。

知識を身につけると人格を形作り、苦境の時にどう考えふるまうかという知恵も得られます。学びは生き方を変えるきっかけになり、ひいては幸福であるために学ぶことになるのです。

学ぶことは自分の足りない部分を知るチャンスになります。

間違いを指摘されると自分への評価が下がってしまうと思いがちですが、答えが正しいかどうかを指摘されたにすぎないのに、それを自分の人格に結び付けてとらえるから恥ずかしいのです。

できないことを受け入れてこそ力がつくのです。

焦燥からの解放

現代は効率的に時間を使い、仕事をし、成果を上げようという風潮にあります。

本でさえ、すべて読まなくていい、なんなら要約を読んでだいたいの内容を知っておけばいい、という考えもあります。

今は何事も効率的に目的に到達することを求めようとする時代の流れにあると言えます。

しかし人生は効率よくは生きられません。

生きることを効率よくしようとすればできるだけ早く死ぬという目的を達成しなければならなくなります。

いつ死ぬかもわかりません。定年退職したらあれをしようと、その時を心待ちにしていても、定年前に人生が終わらない保証はありません。

今、自分は全人生のどのあたりを生きているのか考えるのも無意味です。

だからと言って、今のうちに学んでおかないと、と焦燥にかられる必要もありません。

歳をとってからの学びは競争や評価から自由です。やめるのも理由はいりません。自由な学びは知る喜びを味わうことができます。

今、真剣に生きれば、どれだけ長く生きるかは問題にならないのです。

今はできないという理由はいくらでも考えつきます。今は仕事が忙しいというのは、自分を一番納得させる理由になります。「でも」といった途端、しないという決心をしているのです。現実的な困難があっても、一度「でも」というのをやめてみると人生は変わります。

P238

この本の目次

第1章 なぜ学ぶのか

  • 学ぶことに目的は必要ない
  • 競争のために学んではいけない
  • 学ぶことそれ自体が喜び

第2章 そもそも学びとは

  • 学ぶと何が起こるのか
  • 学ぶことで得られるもの
  • 学ぶうえで大切な姿勢
  • 速く学ぶか、ゆっくり学ぶか

第3章 読書は学びの源泉

  • なぜ本を読むのか
  • どんな本を読むべきか
  • 本との付き合い方

第4章 書くことは学ぶこと

  • 書くことの意味
  • どうやって書けばいいのか
  • 書くための道具

第5章 外国語学習は世界を広げる

  • 英語だけが外国語ではない
  • 外国語の学び方

第6章 生きることは学び続けること

  • 学び方を変えると生き方が変わる
  • 貢献感を持てば幸福になれる
  • 「今、ここ」から学ぶ
  • 偶然の出会いを活かす
  • 命をかけた学び

まとめ

今世の中は玉石混交な情報にあふれています。

学びは自分で考える力をつけてくれます。SNSの情報をうのみにせず、いったん疑問を持ち考えることが自分を守ることにもなります。

自分が世界の中心ではないと知ることは、他者の意見に耳を傾けることにつながります。

この本は、学ぶことがいかに人生を豊かにしてくれるかを説いてくれます。

学ぶという行為自体が学ぶことの理由なら学びに終わりはありません。

読み終えて

私は「なんでそんなに勉強するん?」とたびたび言われてきました。

その質問をする人はきっと本を読んだり調べものをしたりすることが苦痛なのだと思います。

私も数学と物理の授業が苦痛でした。だから大人になってから数学・物理は手を出してません。

学校での全てをまんべんなくという学びと、興味からの知を愛する学びは分けて考えたほうがいいのではないでしょうか。

高校生のころ、漢文に興味がありました。

原書を読むのと翻訳を読むのとでは違いがあることを知っておかなければなりません。原書を読むのはフルカラーの世界を垣間見ることです。それに対して、翻訳はモノクロ写真のようです。翻訳を読んでこれを原書でもよんでみたいと思う本があるなら、そのためにだけその本が書かれた言葉を学んでもいいくらいです。

P142

もしかしたらあの時は、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を読んで、史記の「項羽本紀」を漢文で読みたいと思ったのかもしれないと、この文章を読んで思いました。

読書が好きな私は、興味の赴くままにいろんな本を読んでいて、ページ数なんか考えませんから当然ぶ厚い本も読みました。

ある日「そんなゴツイ本読んでるん、偉いなぁ」と声をかけてくる大人がいました。

しかし私は「読みたい本」を読んでいただけであって「偉いこと」をしているつもりはありませんでした。まだ10代の子供だったので、その大人の言葉の違和感にイラ立ち、またどう返したらいいかわからず無視してしまった記憶があります。

それこそ勉強は頑張ってするもの、苦しいもの、という先入観からくる言葉だったのでしょう。

一方、この本の中の「目的を持つととたんに学びが苦しくなる」という経験が私にもあります。

昔、若いころ韓国語を勉強していました。サッカーのワールドカップ日韓共同開催(2002年)のさらに前のことです。

韓国語を覚え、ハングルが読めるようになるのが楽しかった。けれども語学を身に付けたからには「会話できなければ意味がない」といつしか思うようになってしまったのです。

「文法重視の日本の英語教育は役に立たん」と、よく言われてましたよね。楽しみで勝手に韓国語を勉強していたのにも関わらず、私も語学はしゃべれてなんぼ、の考えにとらわれてしまっていました。

会話に意欲の持てなかった私は、いつしか韓国語に対する興味は薄れていき、その後の「冬ソナ」「韓流ドラマ、映画」「K-POP」には何も心動かされることなく、韓国語を勉強していたことすら忘れていた時期があります。

それまで費やしてきた時間やお金が無駄になって、あの若いころの貴重な時間を浪費した、とネガティブに思ってました。しかしこの本を読んで、興味が他に移っただけ、他のことも「知りたい」と思っただけ。それでいい、と思えるようになりました。

ゆっくり学んでいいし、あらゆることを学んでいい。

競争や目的のない学びは楽しい!

それが私が勉強を続ける理由です。

 

 

脳の使い方で人生が変わる! 書籍『スーパーブレイン』

人は何歳からでも変われる!

「脳は私たちができると思っていることしかできない。」P3(訳者まえがきより)

著者の一人、ディーパック・チョプラ氏は、アメリカで代替医療を提唱している人です。

代替医療とは、現代医学とは異なる理論や方法によって行われる医療行為の総称です。

瞑想やヨガなどの実践を通じて、意識をコントロールし、心身のバランスを回復すること、アーユルヴェーダの原則に基づいた食事やライフスタイルで、健康を促進することができる、というのが、彼の代替医療の主張するところです。

『スーパーブレイン』ディーパック・チョプラ ルドルフ・E・タンジ共著 村上和雄監訳 大西英里子訳 2014年 保育社

今回のこの著書は、脳を身体の物理的な器官として捉え、自らの意識で脳の手綱をしっかりとってその能力を最大限に生かし、幸福な人生を手に入れようというものです。

脳をうまく働かせる

この著書でいう脳の力を最大限発揮するとは以下のようなことです。

  • リーダーとしてその日の指令を自分の脳に発令する。
  • 発明家として、昨日までは存在しなかった新たな回路を脳内に生み出す。
  • 教師として、新しい技能を習得できるように脳を鍛える。
  • 使用者として、脳が正常に動く状態を保つことに責任を持つ。

P20

人間の脳が興味深いのは、「できると思っていることしかできない」という特性があることだ。

P38

何らかの優れた人を見て、彼らは自分と違って才能があるからだと思い込み、自分なんてどうせあんなふうにはなれないと決めつけてしまうと、自らの技能の習得に限界を設けることになります。日々の脳の進化を止めてしまうのは、「私」自身です。天才と「私」の違いは物理的な脳の存在ではなく、心の持ちようなのです。

目標を達成し、自分を満足させ、新しい技能を習得するために脳を使おう。

P28

傷ついた脳ですら回復することが確認されています。脳の成長はとどまることはないのです。

心と脳のバランスにおいて、たいていの人は、すぐに脳のせいにしすぎる。本来は脳を責める前に、自分の習慣、行動、注意、意欲、関心の的など、心のありように目を向けるべきなのに。

P70

自分を変えたいと思うなら

脳は絶えず変化しています。何らかの刺激が自分を変えることにつながり、自然で無理のない生き方としての自己変革を成し遂げることができます。

本書のテーマであるスーパーブレインは、自己意識の拡大に依存するものです。

本来の現実に、他者からの指摘で気付くのではなく、自分自身で気付くこと、マインドフルネスは「意識していることを意識する」と言えます。

そしてそれは、秘められた創造力、可能性が最大になるということでもあります。

マインドフルな状態は、人生のあり方そのものなのです。

無意識と感情、そして意識するということ

無意識は感情に支配されます。感情に支配されたままだと不安や怒りにかられて意思決定することになってしまいます。

逆に意識的になると、今の自分の感情を説明できるようになります。

過去の経験に照らし合わせて、今のその感情がいい結果を生むのか悪い結果を生むのか考える心の余裕が生まれます。

そしてそれについて自分は何を思うのか、何を意味するのか、自分はどうなるのか、と自分に問いかけることができます。

感情にこだわらず、人生すべてに意味があると思えば自分の中の限界を取り払うことも可能なのです。

何歳であろうとも、自分のこの先の人生の展望に興味を持ちましょう。

自分が変わるために自分を観察する方法として、本書は瞑想を勧めています。

一日のうちに少しでも、呼吸を整え、自己の内側に目を向ける時間を持ちましょう。

この本の目次

part1 無限の可能性を持つ「脳」、それは最高の授かり物

  • 第1章 脳の黄金期――脳の持てる力を最大限に活用しよう!
  • 第2章 脳に関する5つの通説を取り払おう!
  • 第3章 脳に使われるのではなく、脳を使おう!

part2 スーパーブレインが夢を現実のものにする

  • 第1章 あなたの脳、あなたの世界
  • 第2章 あなたの脳は進化している
  • 第3章 本能的な脳
  • 第4章 感情的な脳
  • 第5章 知能的な脳から直観的な脳へ
  • 第6章 幸せが宿る場所

part3 脳に秘められた謎と明るい展望

  • 第1章 老いない脳
  • 第2章 悟りの脳
  • 第3章 現実という幻想

まとめ

著者のディーパック・チョプラ氏は脳を単なる器官ととらえ、心はその器官の状態に左右されやすいものだとしています。

脳に心を振り回されないためには、意識して感情を検証するだけでなく、物理的にも身体を良い状態に、つまり睡眠を大事にし生活習慣を整え、健康を維持することも大きな力となると説いています。

読み終えて

チョプラ氏の、脳と心、意識の関係について理解するのにちょっと手間取りました。Google Geminiに訊いたりもしました。

特に心と意識の違いについて悩みました。

Gemini先生によれば、チョプラ氏の考え方として、

心:思考、感情、記憶などの意識的な活動を指します。脳の活動によって生み出されると考えられています。

意識:最も根源的な存在であり、思考や感情を超えた、純粋な気づきそのものです。

「心は意識の現れであり、意識は脳の活動を通して心という形で現れる」

と、回答してくれました。

ん~~?

まだちょっとよくわからない(>_<)

なので本の要約は、時間をかけた割には、かなり中身のスカスカなものになってしまいました。不本意……"(-""-)"

 

 

 

初心者でも大丈夫な入門書 書籍『教養として学んでおきたい哲学』

「哲学」って言葉にひるんじゃダメ! この一冊で気軽に始めよう!

哲学にちょっと興味をもって入門書を読んでみたけど、全然わからない。途中で読むのをあきらめてしまった、という経験はありませんか。入門ですら難解なんだからよほど難しく高尚なものなのだろう、と思ってしまいますよね。

今回ご紹介する本は、哲学の入門書の入門書が欲しい、という人にピッタリです。

『教養として学んでおきたい哲学』岡本裕一朗著 2019年 マイナビ新書

  • どうして哲学って難しいの?
  • そもそも哲学って何?
  • 哲学って役に立つの?

といった疑問に答えてくれる一冊です。

哲学とは

この本は、まさに「哲学」とはという問いにたいして平易なことばで解説してくれるものです。哲学とは、

世界や人生といった根本的なことを深く議論し考え、相手や自分の知識を問い直すこと、「考え方自身も根本的に検討し、本当に正しいのかどうかを問い直すこと」

常識を疑い、検討し、批判し、根拠づけること。

”哲学”は何か限定された対象を学ぶ学問の分野というよりは、哲学者たちの文献を読み、考える行為そのものとも言えます。

自明の理である常識を改めて疑うことによって新たな知識の「可能性を生む可能性」もあります。

  • 目の前に見えているものは本当に見えているのか
  • 生きるとは

徹底的に考え抜かなければいられない人が哲学者であり、そんな人の思考が新たな改革を生むのです。

”哲学”という学問は、あらゆる分野に介入し議論することができる学問です。

P4

答えを出すことが目的ではなく、問いこそが重要で、正しいと思っていたことは本当に正しいのかを追求することそのものが哲学の目的です。

そしてそれは、答えを出してもその答えに問いが生じる、ということを延々と繰り返すことでもあります。

あまりにも深遠なため、哲学を研究しても先人の学説の後追いに終始し、自分なりの説を唱えるまでに至らないのが大半だといいます。

「哲学」に携わる人たちは、哲学者というよりは、哲学研究者。

哲学研究者は、当該の研究対象に入れ込んでしまい、すべてを肯定する方向に向かいがちです。

P40

答えを与えてくれるのが哲学ではない

多くの人が求めているのは、「どう生きたらいいか」「どう生きるべきか」といった”答え”なのですが、これは哲学というよりも宗教に近いものと言えるかもしれません。哲学は答えそのものを問い直し、そのまま受け入れることはありません。宗教はそのまま受け入れようというものです。

P45

哲学は、「こう生きなさい」「これが正しい生き方です」と断言してもらうことを期待するものではないのです。

「こう生きるべきだ」と言われたら、「それは本当ですか?」と問い直すのが哲学なのです。

(中略)

例えば、ソクラテスは「吟味なき生は無意味である」というような言い方をするのですが、これをそのまま、ポジティブに捉えるのは間違いです。このフレーズそのものを吟味することが哲学なのであり、断言調、教訓調に教え諭すような人生論は決して哲学ではないのです。

P47

そして、それは何、それはどういうことかの問いを繰り返していくと結局、「人間とは何か」という問いに行きつきそれこそが哲学の中心にある問題となるのです。

哲学が難しく、理解できない理由

抽象概念で議論されることが多いから、日本語で書かれていても文章そのものを読解するのが難しいのです。常識を疑う学問なので、常識で使う言葉以外で議論を進めるにはどうしても抽象概念を多用することになります。

延々と議論し、言葉を積み上げて、そのあげく挙句、「そもそも」前提は正しかったのか、とそれまでの議論をひっくり返すこともあります。

過去の哲学者の説を知る

哲学は自分なりの問いを立てて考える学問です。なのに哲学史や過去の哲学者の説を勉強する意味はあるのでしょうか。

すでに存在している知識がない状態で考えると、先入観なしに考えることができるかもしれませんが、先人の考えつくした、すでにある説に行きついてしまうこともあるでしょう。

哲学の歴史を学んでも「哲学する」ことができるわけではありませんが、論理的な思考の方法を学ぶこともできます。

プラトンを抜きにして哲学を理解するのは不可能であり、もし言及していなかったとしても、それはおそらく知らないだけであり、細かく見ていけば、この議論は、ここでプラトンがやっている……といったことに必ず繋がるといっても過言ではないのです。

P76

vega-well-being.hatenablog.com

プラトンの語り方や議論の仕方が、その後の哲学における大きな源になっているのは間違いのないことなのです。

P77

哲学は役に立つのか

はるか昔から哲学は役に立たないといわれてきたそうです。

ほかの学問の基礎付けという役割はあったものの、時代が進むにつれて、

それぞれの学問が精密化し、自立していくと、素人のような一般論しか言えない哲学は、影響を与えるどころか、基礎付けさえも関われなくなりました。

P172

直接的に職業に役立つかといえば役に立つとはいえず、しかしそのことが学問として自由であり、視野の広さをはぐくむという意味では役に立つのかもしれないというのが著者の考えです。

大きな転換点に差し掛かっている現代において、新たなテクノロジーの方向付けを提供するのが哲学であり、先が見えない未来に対し、ほとんど無知な形で立ち向かっていくことに関して言えば、哲学が役に立つシーンは少なくないと個人的には思っています。

P178

この本の目次

  • 序章 哲学というものを確認する
  • 第1章 人生100年時代に改めて哲学を学ぶべき理由
  • 第2章 そもそも哲学とは、どんなことをするのか?
  • 第3章 哲学の歴史と概念を知っておこう①
  • 第4章 哲学の歴史と概念を知っておこう②
  • 第5章 20世紀における哲学の3大潮流
  • 第6章 現代社会で哲学はどう役立つのか?
  • 第7章 今後の哲学を展望する

まとめ

哲学のざっとした通史を知ることもできます。

  • 哲学の長い歴史において研究対象の転回が行われたこと(存在、認識、言語)
  • 理性主義・合理主義と経験主義の二大対立の立場について(これはAIの発展にもかかわる)
  • プラトンとアリストテレスと中世哲学
  • 哲学とドイツ語、ドイツ観念論
  • 言葉や言語に着目した20世紀の哲学

著者おすすめの入門書も紹介してくれています。

哲学はとっつきにくいけど、「最近ディープラーニングとかAIに関することにもかかわってるっていうし」と、今まで関心なかったけど「哲学」という文字を目にするようになって気になる、という人にとてもおすすめです。

読み終えて

今までご紹介した哲学の入門書の中で一番読みやすく、超哲学初心者の私でも一気に読めました。

哲学という概念そのものが説明の難しいもの、それが哲学。

答えを出してくれる学問ではなく問う学問。

ん? 「学」「問」

間にレ点を打てば「問ウコトヲ学ブ」と読めますねぇ

哲学は学問そのもの、学問すべてが哲学! なのかな?

ネットで調べると「学問」という言葉の語源は『易経』にあるそうです。きっとそういう読み下しではないでしょうが、学問とは問いから知識を得、実践する、という行程そのものなのかもしれませんね。哲学はそのとっかかりの手段、ということかな?

 

 

 

 

 

 

書籍「『はじめてのプラトン』で学ぶ ソクラテス、国家、そして理想

『はじめてのプラトン』で探求!三区分説と理想国家

プラトンは、古代ギリシャの哲学者で、西洋哲学に多大な影響を与えた人物の一人です。

紀元前5世紀を生き、ソクラテスの弟子であり、アリストテレスの師でもありました。

彼の著作の特徴である対話篇は、登場人物たちが生き生きと議論をかわす様子が描かれ、物語を通して哲学的概念を読者にも考えさせることを目的としています。

哲学と文学を融合させた優れた作家ともいえる人です。

『はじめてのプラトン』中畑正志著 2021年 講談社現代新書

今回ご紹介する本は、プラトンが著作の中で師のソクラテスを登場させ、対話させて人や国がどうあるべきかをどのように論じたかを解説しています。

そして読者に、ただ受け身に読むだけでなく、プラトンの提唱したことに対し、疑問を持ち、自分なりの考えを打ち立てることの重要性も説く内容でもあります。

師ソクラテスの言の葉をかりる

プラトンを語るときに、師のソクラテスは外せません。

ソクラテスは後世に大きな影響を与えたのにも関わらず、著作物というものを残しませんでした。

彼の教えは弟子たちの書き残した記録によると、知識を追求することにとどまらず、自らを見つめてよりよく生きることを促すものだったと理解されています。人間がどのように生きるべきかを、弟子との問答という形で真理を探求しました。(ただし、あくまで他者の書いた著作なので、著者の解釈や思想が含まれていることに注意が必要です)

その作品のほとんどにおいて対話を導いているのが、プラトンを哲学の活動に促した最大の動因であるソクラテスであることは、それ自体が読者への重要なメッセージである。彼は覆面をかぶったプラトンではないにせよ、そのソクラテスが提示する問や議論を、著者プラトンはとりわけ重要な考えとして受けとめることを読者に求めていると考えるのは、きわめて自然である。

P38

ソクラテスが「知と真理」、「魂を優れたものにすること」という哲学の意味を唱えたことに対し、プラトンはさらにそれがどういうことなのか、という探究を課題として論理を展開していきました。

したがって、プラトンの著作の中のソクラテスの発言が、果たして本当の発言か、プラトンの創作かはもはやわからないことですが、プラトンの考えの根底にソクラテスの教えがあり、登場人物としてのソクラテスの発言はプラトンの思考の一部であると言えるでしょう。

本書のスタンスとして、著者はこのように断っています。

以下で「ソクラテス」と呼ばれるのは、プラトンがその作品のなかで描き出しているその名の人物であり、それ以上でもそれ以下でもない。そしてそのソクラテスを通じて、プラトンの思考の動向を見届けることができる。

P52

プラトンの描き出すソクラテスの対話は、相手の信念からの自信の矛盾点をつき、そして本人自身が気付いていなかった、当初の信念に反する考えを導き出してしまうものです。そしてそちらのほうが自分にとっては生き方の基礎となる、重要なものであったと認めざるを得なくなるのです。

ソクラテスの対話は、相手の懐に入り、その生き方そのものを吟味する仕事であり、したがって相手が自ら何を考えていたのかに気づき、見直させるような技である。

P81

理想的な国家を論じる著書『国家』

プラトンの有名な「洞窟の比喩」がでてくる『国家』という著作は、正義とは何か、理想的な統治者とはどのような人物か、教育の意義とは何かなどを議論する内容です。

魂の三区分説と国家のあり方

人間の魂は理性、気概、欲望の3つの部分から成り立っていると、プラトンの著作全体に見られる考え方ですが、特に『国家』では深く取り上げられています。

  • 理性: 知性、判断力、道徳性
  • 気概: 勇気、名誉心、闘争心
  • 欲望: 食欲、性欲など、身体的な欲求

プラトンは国家の構造が、個人の魂の構造と似ていると考え、理想的国家は魂の3つの部分に対応した三階級で構成すべきだと提唱しました。

  • 理性によって国を統治する哲人統治者(哲人王)
  • 気概によって国家を守る守護者(哲人王と生産者の仲介的役割)
  • 欲望を満たすために働く生産者

それぞれの役割を果たすために高い道徳観と知性が必要です。だからそれを備えるための教育の重要性も説きます。

哲学者が統治する、あるいは統治者が哲学する理想的国家。

実現不可能に思える大胆な改革をこの『国家』においてプラトンは提唱するのです。

しかし、哲人統治者という構想は、当時の人々にとって驚くべき政策だった。ソクラテスは「けっしてばかにならぬ連中が、……ひどい目にあわせてやるぞとばかり、血相変えて押し寄せてくる」(474a)ようなプランだと認めている。しかし著者プラトンは真剣であった。この政治体制が実現しないかぎり「国にとって不幸のやむときはないし、また人類にとっても同様である」(473d)と考えるからだ。

P181

この本の目次

  1. プラトンはどう書いたのか、プラトンをどう読むか
  2. プラトン哲学の原点
  3. 自己と他者を変える対話
  4. 魂・徳・知の関係
  5. 改革へと促すイデア論
  6. 魂の分割――「国家」その1
  7. 哲学者と善のイデア――「国家」その2
  8. プラトン、その後に

まとめ

プラトンの有名な「イデア論」「洞窟の比喩」「三区分説」で説かれる理想的な国家のあり方。「『国家』を読み解く」ことに重点が置かれた本だと思いました。

プラトンの考えは理想主義的に過ぎ、女性への評価が低かったり、階級社会を正当化していたりと、現代社会の価値観にそぐわない点もあります。

しかしその反面、正義、美、善、知識といった普遍的なテーマ、教育の重要性、リーダーシップなど、現代の問題に対するヒントも与えてくれるものでもあります。

著者はプラトンが「考えたり示そうとしたこと」はこうではないかといいます。

(考えたり示そうとしたことは)政治や文化を含む人間の営み全体に、対する分析的で批判的な思考であり、それを変革するための道筋を考えようとする知的努力である。

P208

『国家』において展開したヴィジョンも、自己と他者、そして共同体の変革を目指すものであった。

P209

読み終えて

「はじめての」とタイトルにあるので入門書なのでしょうが、哲学の極めて初心者の私にはまだまだ難しかったです。

イデア論や古代ギリシアの魂に対する認識などぼんやりとでも知ってから読んだほうがよさそうです。

ただし、これを読むと作家としてのプラトンに興味がわき、彼の対話篇の著作を読んでみたくなります。

著作物というのは一種の権威です。活字で印刷されている、というだけで「正しいことが書かれている」と思ってしまいがちです。

しかし最終的には、「プラトンがこんなこと言ってるけど、これってどーなん?なんかおかしくない?」と率直に問いを発し、考えてみることのほうがもっと大切である。そのように考えることこそ、プラトンが望んだことである。自分でプラトンを読み、「プラトンはこう語った、でも私はこう思う」とどんどん発言すればよいのだ。それこそが、多くの人が手に取り、読めるように書いたプラトンの求めていたことである。

P42

自分で考えること、自分の答えを見つけること。

それが、変化が激しく価値観が多様な今の世の中に必要な力なのではないでしょうか。

人を考えさせるだけでなく、動かし、異なる生き方へと向かわせるためにはどうしたらよいのか。この問いに答えるには、(中略)人が実際に行為し生きていくうえでの原理、個人と共同体との関係、そしてその変更の可能性を改めて考えることを求められるだろう。

P88

先日読んだ『「無知」の技法』での、VUCA(ヴカ)な世の中に対応するための考え方に共通するように思えました。

 

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「知らないこと」を武器に変える!問題解決の新しい視点 書籍『「無知」の技法』

「無知」を武器に、問題解決力を向上させる方法

皆さんは「知りません」「わかりません」って素直に言えますか?

「もしかしてこれって常識だったのかしら」「知らないの私だけ?」と思うと妙にプライドが邪魔して言いにくいですよね。

けれど世の中のすべてを知るなんて不可能、万能な人なんていないんです。知らないことがあって当たり前。

でも私たちはどうして知っているかのようにふるまい、知らないことを恥と思うのでしょうか。

今回は無知=無能ではない、むしろ利点ですらあることを教えてくれる本をご紹介します。

『「無知」の技法』スティーブンソン・デズーザ ダイアナ・レナ―著 上原裕美子訳2015年 日本実業出版社

物知りに見えるかどうかがステータスを決める世の中

専門家なら熟知しているに違いない。指導者、リーダーは物事の成り行きを的確に予測できるはずだ。権威や影響力のある人に対してそんな期待を持ってしまいがちです。

人は答えを知らなくても知っているふりをするか、専門家や権威ある人が知っていて問題に対処してくれていると思いたがる傾向にあります。

上に立つものは何でも知っていると思われ、そうであることを期待されます。下につくものは何でも知ってる上司が問題を解決してくれるだろうという安心感を持ち依存します。

それが上のものには途方もないプレッシャーとなり、早期に解決したい衝動にかられ、下の者にとっては成長の妨げとなってしまい、かえって不誠実な状況に陥ります。

人は自分が無能に見えたり他者の信頼を失ったりすることに耐えられないのです。

現代のように、知識に価値が置かれる社会では、「確実性」が重視される。だから自分自身も、話の内容を理解できていると見せること、自信ありげでいること、話題を熟知していること、確信をもって話すことを重視する。そうしていれば有能に見えるからだ。そして他人を見るときも、確信を持って行動している(ように見える)人のことは疑おうともしない。

P61

専門家や指導者がいるのだから安全対策は万全のはずだ、と妄信して明らかに悪いことが起こっているのに意図的に目をそらし、認めようとしない事態も起こりうるのです。

アンカリング・バイアス

アンカリング・バイアスとは、最初に提示された情報に過度に影響され、その後の判断が歪んでしまうことです。

最初に接した限られた情報で迅速に判断するにはいいのですが、情報不足で調整ができず、結局最初に得た情報に引きずられ、判断の基準になるのです。

その情報が船の錨(アンカー)のように固定され、客観的な判断ができなくなります。

つまり専門知識は既成概念におちいりやすい罠となってしまうのです。

信じたことを真剣に追究すればするほど、確信したことを手放すのは難しくなるし、自分が間違っていると認めるのは難しくなる。

P60

変化する社会に対応するためには、従来の知識を妄信せず、未知の知識や状況を「無知」な自分の目で見て考える力が必要です。

変化が激しく、予測が困難な状況 VUCA(ヴカ)

VUCA(ヴカ)とは

  • Volatility(変動性): 社会や経済環境が頻繁に変化し、安定しない状態
  • Uncertainty(不確実性): 未来が不透明で、何が起こるかわからない状態
  • Complexity(複雑性: 様々な要素が複雑に絡み合い、全体像を把握するのが難しい状態
  • Ambiguity(曖昧性): 情報が不確かで、状況を正確に判断できない状態

近年、グローバル化、デジタル化といった様々な要因により、社会はますます複雑化して、めまぐるしく変化しています。このような状況下では、従来の考え方ややり方では対応できないことが増え、VUCAに対応できる能力が求められるようになってきました。

一つの物事に対する見解は多方面から分析され、そのどれにも根拠があり、明確な答えなど出ることはありません。最終的にどうなればいいのか、という着地点すらはっきりとしないことがほとんどです。

このように変化に富んだ今の社会において「既に知っていること」だけに頼っていたのでは危険でさえあるのです。

無能、使えない、適性がないと感じるのは居心地が悪いものだ。知らないと認めると無力になる気がする。力や主導権を失ったことが、痛烈な恥ずかしさにつながるのだ。

P109

「恥」が未知のことに挑戦しようとするオープンな気持ちになれない理由になるのです。

分析まひ

私たちは、分析したり、より多くの情報を集めたりすることで、未知の複合的な問題に向き合うことから逃げようとする。苦戦する理由は知識不足だと思い込む。もっと多くの資料を読み、もっと調査し、もっと仕事が得意になれば、答えがみつかるだろう、と。

この考え方の欠点は、解決どころか定義することも難しい試練にぶつかったとき、結局解決策にはたどりつけないことだ。

P117

変化の速い状況ではどんなに分析しても明確な答えなど出ません。万全な備えなどできないのです。無知を恐れず、異なる立場や価値観を持つ人々と協力し、多角的な視点から問題を捉える能力や、変化を恐れず、新しい状況に柔軟に対応できる能力が問題解決の大きなカギになるのです。

「知らない」ことをリスクではなく利点に

状況を先入観で判断しないために「知らない」という姿勢でいなければ、かえって成功できないにもかかわらず、成功すればするほど、「自分はすでに知っている」と思いたくなってしまいます。

知らないことを認めるのはリスクであると考えてしまうようになります。

しかし、謙虚や弱みを見せるということは、働く者同士の絆を深めることにつながります。職場や組織で合意された既存の知識をわきに置いて、もし今、何も知識がないとしたらという姿勢が新たな知識を掘り起こすことにもなります。

「知らない」「わからない」が言いにくいリーダーや管理職の人たちに、むしろ無知のテクニックが必要なのかもしれません。

ネガティブケイパビリティ

ネガティブケイパビリティとは、はっきりとした答えのないことに対し、簡単に答えを出さず、不確実さに耐えて思考する力のことです。

現代は情報が氾濫している分、すぐに答えを求められてしまう傾向にあります。しかし変化の激しい現代社会では明確な答えのないことがほとんどです。

今こそ、ネガティブケイパビリティの能力が発揮される時代ではないでしょうか。

「知らない」ということを認めることは、ものすごい速さで変化する現代に対峙するときに大きな力になるでしょう。常に未知のことが目の前に提示され、無知であることを自覚すると、新たな機会と可能性を見出せるのですから。

この本の目次

part 1「知識」危険性

  • 知っているのはいいことか?
  • 専門家とリーダーへの依存
  • 「未知のもの」の急成長

part 2 境界

  • 既知と未知の境界
  • 暗闇が照らすもの

part 3 「ない」を受容する能力

  • カップをからっぽにする
  • 見るために目を閉じる
  • 闇に飛び込む
  • 「未知のもの」を楽しむ

読み終えて

転職して次の仕事が決まるまでの無職の状態だった人の言葉が引用されていました。

”ローンの支払いのこととか悲観的なことばかり考えていたのは、知らないことに向き合う不安よりも、落ち込んだ気持ちでいるほうがいくらか安心だから。知らないことは怖い。”(引用要約)

確かに自分の経済状況が良くないことは悪いことだけどよく「知っていること」でもあります。その状況が長く続けば最悪だという予測もつきます。これから先どんな仕事に就くか、その仕事の内容は? 職場にどんな人がいるの? と考えても全く想像もつかず、答えはない。だから今知っている状況を悲観することに逃げがち、ということですね。

なんか、よくわかる"(-""-)"

 

 

書籍『BREATH 呼吸の科学』が教えてくれる、呼吸の驚くべき力

呼吸にフォーカスしてリラックス、病気知らずの人生を!

皆さんは呼吸って意識したことありますか?

呼吸なんて自律神経が行うものだから意識する必要ある?って思いますよね。意識しなくても息を吸って、吐いてるんだから生きていられるわけです。

でも、意識してないから、ないがしろにしてると言えるかもしれません。酸素を取り込まなければ生きていけない。そんな重要なことに私たちはあまりにも無頓着なのかもしれませんね。

普段意識しないけど、実はなくてはならない呼吸というものにフォーカスした本をご紹介します。

平均的な読者はここから本書の終わりまで読むのに約1万回の呼吸を要するだろう。私が適切に事を果たしたなら、今からあなたは息をするごとに呼吸とその最良の方法について理解を深める。

P16

『BREATH 呼吸の科学』ジェームズ・ネスタ―著 近藤隆文訳 2022年 早川書房

何を食べ、どれだけ運動し、どれだけ遺伝子に復元力があろうと、どれだけ痩せていようと若かろうと賢かろうと、正しく呼吸していなければ、何の意味もない。まさに研究者たちは発見した。健康に欠けている柱とは呼吸だ。そこからすべては始まる。

P14

口呼吸より鼻呼吸

いま、口で息をしているか、鼻でしているか、考えたことありますか?

本書では、古代の人が書き残したものや、北米南米の原住民によれば、口による呼吸は害があり、鼻で呼吸すべきだ、と伝えているといいます。

筆者は友人と鼻に栓をして口だけで過ごす期間、口をふさいで鼻だけで呼吸する期間を設ける実験に参加しました。

口だけで息をしているといびきが多くなり、睡眠時無呼吸の状態になり、気分も「毎日すべてが悪化しているとしか思えない」状態だったそうです。

口にテープをはり、鼻呼吸だけだと、睡眠時のいびきや無呼吸の状態が劇的に減少、またはまったくなくなったのです。

ゆっくり吸ってゆっくり吐く

深いゆっくりとした呼吸法はヨガや、宗教の祈りの技法に共通するものです。

心拍変動が大きいほど、自律神経のバランスが良く、心身がリラックスしている状態と言われていて、ゆっくり深い呼吸が効果的だそうです。

共鳴呼吸法

心拍変動が最大になる呼吸回数を「共鳴呼吸数」と呼び、この呼吸数で呼吸することで、心身のリラックス効果や自律神経のバランスを整える効果が期待されます。

複数の研究で、1分間あたり5~6回の呼吸が、心拍変動を最大にするという結果が出ていて、5.5回が平均的な値として注目されることが多く、本書でも紹介されています。

この共鳴呼吸法は瞑想する気のない人に瞑想と同じ効用をもたらした。カウチから降りたくない人にヨガの効用を。宗教を信じない人に祈りの癒し効果を提供するものだった。

P113

噛むということ

工業化社会が始まったころから食べ物は加工され、柔らかくなりました。同時に人間の歯並びが悪くなり、鼻がつまり、気道が狭くなったと考えられます。

十分に咀嚼していた大昔には「口や歯、喉、顔は広く、強くはっきりとした形」の頭蓋骨をしており、それは効率よく呼吸するのに適していたのです。

人間であれ、豚であれ、何であれ、固いものからやわらかいものに変わるたびに、顔が狭くなり、歯が密集し、顎の位置がずれる。呼吸障害がついてくることも多い。

P174

食べ物が固かろうが、柔らかだろうが、呼吸しやすい気道の形というものを手にいれるためには咀嚼という一定のストレスが必要ということです。

まとめ

呼吸数を減らすことの喘息に対する効果、アスリートの成績向上。

意識的に過呼吸にして自律神経をコントロールする仏教の呼吸法「ツンモ」、ヴィム・ホフの呼吸法、ホロトロピック・ブレスワークについて、など、呼吸の仕方が体や精神にどのような変化をもたらすのかを解説しています。

著者はジャーナリストとして、科学者、医師、民間療法の実践者に取材し、過去の批判され、忘れ去られた論文をかき集め、呼吸が人体に良くも悪くも大きな影響をもたらすことを調べつくし、さらに自らも実験台になって体験しました。

著者が行った取材と実体験をもとにした記述は論文や報告書のような堅苦しさがなく、読みやすかったです。

気道閉塞と治療法をめぐる、とても不思議な長旅の終わりに学んだことがある。私たちの鼻や口は、生まれたときや子供時代、あるいは成人後も決定づけられはしない。過去数百年のあいだに受けたダメージの多くを意志の力で元に戻すことができる。

P177

無意識に行われているのにもかかわらず私たちの生命維持を担っている呼吸に目を向けてみませんか。深呼吸をしたくなりますよ。

読み終えて

私は呼吸を考えた時に、酸素を意識するけど二酸化炭素のことはあまり考えたことがありませんでした。

血液中の二酸化炭素濃度が上がると、脳の呼吸中枢が刺激され、呼吸が速く深くなるそうです。でも、酸素濃度が低下した場合も呼吸が促されるけど、二酸化炭素濃度の上昇ほどには強くは働かないんですって。

瞑想やヨガで呼吸を意識しているからか、この本のタイトルが気になって手に取りました。

身体の中で酸素と二酸化炭素が働いていることをイメージすると生命活動の絶妙さを実感しますね(^^)

 

運動で人生が変わる!脳科学が証明する驚きの効果 書籍『運動脳』

運動で脳を活性化! 人生を変えるヒントがここに

皆さん運動してますか?

健康のためには運動したほうがいいことはわかっているけど、今日はもういいやー、明日から……というパターンを何度も繰り返していないでしょうか。

でも、やっぱり運動は良いんです!

運動すると身体の健康だけでなく、脳にまで良い影響を与えるという一石二鳥の効果を解説してくれる本をご紹介します。

『新版・一流の頭脳 運動脳』アンデシュ・ハンセン著 御舩由美子訳 2022年 サンマーク出版

あなたが動けば、今この瞬間にもっと集中できるようになる。今この瞬間にもっと創造的になれる。今この瞬間にもっとストレスに強くなれる。

P7

1万2000年前からほとんどかわらない私たち人類の脳。原始の時代には獲物を求めて動き回ってきた時代と、脳の機能は違わないのに現代は、座っていることがほとんど、という人が多くなってしまいました。生活習慣が、ご先祖とは大きく変わったのです。

動き回ることに適した脳のまま、ほとんど動かない生活をしている現代では、運動を意識しないと脳に適した生活ができないということが言えます。

身体を動かすと、脳の各領域同士の連携が強化される

脳の各領域の連携が良いか悪いかで、記憶力や教育水準の高さ、自制心などに違いが出てきます。

しかし脳の機能は人それぞれ決まったものではなく、変えていくことができる柔軟性を持っています(神経可塑性)。

そのためには運動とトレーニングが効果的です。しかも20分から30分ほどで効果があるといいます。

ランニングでストレス解消?

コルチゾールは、ストレスを感じたときに分泌量が増えることから「ストレスホルモン」と呼ばれています。

コルチゾールが分泌されると

  • 血糖値の上昇:身体活動に必要なエネルギー源であるブドウ糖を供給
  • 免疫機能の抑制:炎症反応を抑え、身体へのダメージを軽減
  • 血圧の上昇:心拍数を上げ、血圧を上昇させることで、身体に酸素を供給しやすくする

このようにストレスに対応するために身体を守る働きをします。この場合のストレスとは原始の私たちの祖先が身の危険を感じた時に生じたものです。闘争するか逃走するか判断に迫られるときにコルチゾールが分泌されていたのです。

一時的なストレスにプラスの効果をもたらしてくれるコルチゾールですが、仕事や人間関係で慢性的にストレスを抱える現代では、それが裏目に出ることになります。

プレゼン前に緊張して心臓がどきどきしたり、仕事の締め切りが迫ってイライラしたり、人間関係のトラブルで不安を感じて眠れなかったり。 

そのコルチゾールを、本書では運動でコントロールできるといいます。

ランニングやサイクリングで筋肉に負荷をかけると、それがストレスとなってコルチゾールが分泌される

 ↓

運動を終了するとコルチゾールの分泌量は運動前のレベルにまで減る

 ↓

運動が習慣づくと、コルチゾールが増えにくくなるが、運動後に下がる量が逆に増えていく

定期的に運動を続けていくと、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。

(中略)

つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないように身体をしつけるのである。

P73

ストレスがゼロの生活は不可能です。ならば運動によってストレスへの抵抗力を高めたほうがより現実的なようです。

脳を操作しているのは私たちであって、脳が私たちを操作しているのではない。だから、脳の各領域の連携を強化するには、脳の仕組みを理解したうえで、定期的に運動することが何より重要なのだ。

P44

ランニングやスイミングなどの有酸素運動が、筋力トレーニングよりも効果があるそうです。少なくとも20分、余裕があれば30~45分がいいそうです。

ひらめく力と運動

皆さんは運動後に何かアイディアが浮かぶということはないでしょうか。

それは気分が爽快になって頭が冴えたから、というだけではなさそうだと著者は言います。

脳の中央あたりにある「視床」も、創造性に寄与しているのではないかと言っています。

視床は、五感から得られた膨大な情報を、大脳皮質へ伝える前に一度集めて整理する役割を持っています。いわば、情報の洪水の中から、私たちにとって重要な情報を抽出し、優先的に処理するための「フィルター」のような働きをしているのです。

そして視床が厳選した情報を前頭葉に送ります。前頭葉は、思考、判断、計画、感情のコントロールなど、高度な認知機能の中枢です。過去の経験や知識を結びつけ、新しい組み合わせを生み出す能力を持っています。

つまり、前頭葉が斬新なアイデアを生み出すためには情報の中継、集積、選択をする視床がハブとしてうまく機能していることが重要です。

運動やトレーニングをすると、アイデアを活かす力が高まるだけでなく、アイデアそのものがあふれ出るようになると考えられている。どういったメカニズムでそうなるのかはまだ解明されていないが、視床のフィルターの働きには欠かせないドーパミンに、運動が作用するためだと言われている。

運動をすることでドーパミンのシステムが調整され、私たちの気分や視床を通る情報量も適宜制御される。その結果、創造性が増すのである。

P277

まとめ

運動と集中力の関係、運動のうつ病に対する効果、ランナーズハイについて、運動と記憶力、運動と学力、運動と認知機能についても取り上げられています。

運動によって身体の健康だけでなく、脳の機能の向上が得られることを分かりやすく説明してくれます。

忙しいから運動する暇がないという人は、忙しいからこそ運動する時間を設ける必要があると発想の転換が必要なのかもしれません。

適度な運動で身体と脳の健康を手に入れましょう。

生物学的には、私たちの脳と身体は今もサバンナにいる。

P344

読み終えて

本書の中で作家の村上春樹氏の創作の一日が紹介されていましたが、朝4時に起きて夜9時に寝るんだそうです。

「私と一緒!」と思いましたが、その行動を創作という仕事につなげている人とそうでない私。意識の違いが人生の大きな差になるんですねぇ。運動もしてるのに……

本をたくさん読んで実践しているつもりですが、生き方の下手な私"(-""-)"